終わった恋の始め方(赤)

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重岡は、少し特別だった。

クラスにとっても、私にとっても。



笑顔がキラキラしてて爽やかで

いつもみんなの中心にいて

重岡がそこにいるだけで世界が色づいていく。



クラスの端っこにいる自分とはまるで住む世界が違うのに

なぜか重岡は私に優しくしてくれた。




あーやせ、って

あの鼻にかかったような優しい声で呼ばれるたびに

底抜けに明るい笑顔を向けられるたびに

心臓が小さく飛び跳ねていた。








誰かが「重岡と綾瀬さんって仲良いよなー」って。

みんなが確かにーって笑って、顔が熱くなる。

付き合ってんの？って声が聞こえたら耳まで真っ赤になった。



「付き合ってないよ、でも俺は好き。」



重岡は至って普通の顔をしていた。

だけど少し耳が赤かったかも。

周りの歓声とか冷やかす声がここは夢じゃないと教えてくれた。

付き合う？って、重岡がこてんと首を傾げた。

私は重岡の言葉に首を縦に振った、気がする。




だけど付き合うっていっても何をしたらいいのかわからなくて。

今まで通り喋っていても冷やかす声が聞こえてきて

一緒に帰ればみんながニヤニヤしながらこっちを見てきて。


だんだんと重岡と一緒にいることを避けるようになった。

自分の感情とか、どうしたいのかとか、何もかもよくわからなくなってしまった。

重岡も、日に日に私に声をかけなくなっていった。




別れようといったわけじゃない、別れたいと思ったわけじゃない。

でもきっと、今は付き合ってない。


重岡と喋ることもなくなり、同じクラスにいても目が合うことはない。







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だけど、もう一度

おはよう、って声をかけたい。









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