オワリノナイ恋 / A. Masaki【19】 (ページ3)

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723.制御不能ページ3

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雅紀くんに、いい子で待ってて。って言われて
その後、一回電話を切っていいか聞かれたから
お仕事の準備しなきゃだもんね･･･。って思って渋々頷くと電話が切れた。

少しでも声が聞けたら。って思ったけど
逆に少しだけでも感じられた彼の声に、もっと。もっと。って気持ちが芽生えてた。

20分ってなんだろう、、仕事の準備が終わったら連絡するってことなのかな、、って
一度起こした体も、ベッドの中に戻って布団の中で丸くなったままメッセージが届くのを信じて待った。

電話が切れてから、丁度20分ぐらいした頃
玄関先で鍵のぶつかる音がして、ガチャガチャン！って勢いのいい音がした。

まさか、、って思って少し布団から顔を出す。

ドスドスドス。って確かに扉の向こうの廊下から誰かの忙しい足音が聞こえて
一瞬遠くなった足音は、すぐにまた近づいて来る。
バクバクと鼓動を早める心臓に急かされるように体を起こすと、ガチャっと勢いよく部屋の扉が開いた。

「っ、、！」

そこには、雨に濡れたのか、上着にキラキラと水滴をつけて立っている雅紀くんがいて。
私を見つけた彼は、ゆっくりとベッドの前に来た。

彼の匂いがする。これは夢じゃないってわかったのと
体を起こしたまま固まってる私を彼がぎゅっと力強く抱きしめたのは、ほぼ同時。

「お待たせ、、Aちゃん」

ほんの少し上がってる息に、急いで来てくれたのかなって愛おしさがこみ上げる。

「雅紀くん、、っ」

抱きしめ返した私の力に応えるように、彼ももう一度ぎゅっとした刹那
ゆっくりと離れる身体。

「Aちゃんに会いたくなって、来ちゃった(笑)」

「っ･･･なんで、、お仕事は、、っ」

涙をこらえてなんとか聞いた質問は、雅紀くんの笑顔で答えなんてどうでもよくなる。

「あと一時間くらいしたら、下にきてもらえるよう頼んだけど、それまでは一緒にいられるね」

「っ、、わざわざ、、お仕事あるのに、来てくれたんですか、、」

「だから、俺が会いたくて来たんだってば(笑)」

私が会いたいって言ったから来てくれたんだろうに
俺が来たいから来た。ってあくまでもそこは譲らない。

くすくす笑って私の頬を包む大きな掌は、もう5月になるのに冷たい。

冷たい雨の中、急いで来てくれたのかな。
うちに来なければもっと寝れたはずなのに、、昨日も遅かったはずなのに、、

そう思い始めたら、彼の優しさが苦しいくらいに伝わって、止めようと思った涙は制御不能になった。