09.いい加減にして ページ9
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あれから、数日後。
出張を終えて、東京に戻ると大荷物だから乗って行け
という社長の優しさに甘えて家まで送ってもらった。
「すみません、先に降りてしまって」
「気にするな。どうせ通り道なんだから。」
「ありがとうございます。。」
申し訳なさを残しつつも、また明日よろしくお願いします。と挨拶をして
車が見えなくなるまで見送った。
エントランスを抜けてエレベーターに乗り込む。
すると携帯が震えて、着信画面を見た。
そこには見慣れない番号が載っていて、恐る恐る電話に出た。
「･･･もしもし」
「あ、あのぉ･･･Aさんの携帯であってますか？」
「･･･えっと、どちら様ですか？」
「あ、俺です！ほら、札幌で千円借りた」
「あ、カゴさん！！」
「かごさん･･･？」
「あ、すみません･･･えと･･･ま、雅紀さん！」
急いで記憶を手繰り寄せて訂正すると
どんな間違えですか、って耳元で独特な笑い声が聞こえる。
「あ、こんなこと話してる場合じゃなくて(笑)」
「はい･･･」
「お金返したいんですけど、空いてる日とかあります？」
正直、千円のことも雅紀さんの事もすっかり忘れていて
そのうえ、引き抜かれたばかりの私には覚える仕事が多くてスケジュールに空きなんてない。
「すみません。暫くは休みっていう休みがないんです」
「えぇ？」
「この際なので、千円のことは忘れてください(笑)」
「そ、そんなのだめですよ！」
これ以上、ナンパの雅紀さんに遊ばれるのはごめんだって気持ちで言った言葉に
雅紀さんが焦ったように口を開いた。
「なんでですか？」
「だって十円二十円の話じゃないし･･･」
エレベーターが到着して、自宅のあるフロアに降りる。
「大の大人が、千円貸して死んでも返せとはなりませんよ(笑)」
「でも･･･」
「いいです。大丈夫です本当に」
っていうと、暫く携帯からは、何も聞こえなくて
遠くの換気扇だと思う。そこの音がゴォーーーっと耳に届くだけ。
「あ、あの…俺」
玄関お前について、鍵を取り出そうとした時ようやく聞こえた声に、耳を傾ける。
「･･･？」
「相葉雅紀です。嵐の」
突然の発言に、私は思わず
はい？って聞き返していて
「だから、俺、ジャニーズ事務所の相葉ま「いい加減にしてください！」
って叫ぶ様に言って電話を切ってしまった。
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作者名：にゃん | 作成日時：2017年11月29日 0時
