23.本物？ ページ23
.
｢でね〜？｣
って雅紀くんが、声をあげたタイミングで携帯の着信音が響いて
雅紀くんが、あ、俺だ！って言って、廊下に出て行った。
部屋には、私と櫻井さんの2人きりになって
さっきまでの賑やかなムードはなんだったんだってぐらいシーンと静まり返ってて
その、静寂を切り開いたのは櫻井さんだった。
｢ねぇ･･･なんなの？｣
｢え？｣
櫻井さんの方を見ると、なんだか気分が悪いとでも言いたげな
不信感を持った
｢なにが目的？･･･金？人気？なにが目的かはわかんねぇけどさ相葉くんとの事どうしたいわけ？｣
｢どうって･･･｣
｢相葉くんが今大事な時期なのわかってる？･･･てかさ、本気で付き合ってるとでも思ってるの？幸せです、みたいな顔してるけど｣
なに、、なに、この人･･･本当に櫻井翔･･･？
テレビの人と別人なんじゃないかって思わせるぐらい
傷つけるような言葉を発して胸にズキズキと痛みを覚えさせる。
｢そこらの女と同じ。欲吐きの為に呼ばれてんの。想い合ってるとか俺らの世界には無いの。｣
｢そんなっ･･･雅紀くんは好きって｣
｢思わせぶりな態度とって、飽きたらポイだってわかんない？こんな大事な時期に彼女作ってヘラヘラしてるほどアイドル暇じゃないんで。｣
櫻井さんの言葉が、リアルで
確かに、私なんかが雅紀くんの相手だなんてお門違いにも程がある
降りかかる櫻井さんの言葉に、涙が出そうになって
さっきまでの幸せだった空気はどこ行ったんだってぐらい気持ちはブルーで落ち込んで
｢悪いけど、相葉くんにはちゃんとした相手もいるから。｣
｢･･･うそ･･･｣
｢じゃあ、なんで携帯この場で開かなかったの？やましいからだろ？夢見るのも程々にしろよ。｣
簡単に考えれば、マネージャーさんとか、お母さんからだとか
理由なんていくらでもあるのに
この時は、櫻井さんの言葉に流されて気持ちがどんどんマイナスの方へと向かう。
｢私、帰ります･･･｣
近くにあったコートと手荷物を持つと
なにも言わない櫻井さんに背を向けてリビングの扉を開けて玄関に向かった。
｢あ、Aちゃん！･･･て、え？ちょっと！どうしたの！｣
｢相葉さん･･･私、今日は帰ります･･･｣
｢え、ちょ！｣
雅紀くんは、手に携帯を握ったまま。
私も雅紀くんに会わせる顔がなくて、そのまま冬の始まりを知らせる夜風の中に飛び込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 406人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にゃん | 作成日時：2017年11月29日 0時
