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「ま、焦んねぇからさ…じっくりゆっくり考えてよ
でも……逃がすつもりはねぇから覚悟しとけ」
一也の活躍する姿を1番近くで見ていたい
嬉しいことがあったら一緒に喜びたい
悲しいことがあったら私に半分預けてほしい
そう思うってのとは…きっと……
1歩を踏み出せと奮い立たせるけど…
ごめん、まだ好きって言葉にするのが怖い
「ちゃんと対象として思われてるみたいだし、今のところはこれくらいで勘弁してやる
帰るぞ」
一也は無言で右手を差し出してきた
私も右手で一也の手を掴んだ
「おい、ボケてんのか？なんで握手してんだよ
左手だろふつー、手繋ぐの！
わかんねぇかなぁ？」
そうなの？そうなのか……
わかんないって…
「こういうのって付き合ってからじゃ…」
「じゃ彼女になって…」
これ…なんて言うの？恋人繋ぎ？
指が絡んで少し冷えていた指先まで熱を帯びてくる
今さっき、焦らないって言ったの一也なのに…
「好きだよ」ってもう一度甲子園の前で言われた
「Aが人を好きになること怖がらなくてすむように頑張るから
Aの本心もっと聞かせろよ」
返事しないのは卑怯だって思ったけど…一也の気持ちが嬉しくて言葉にしたら泣いちゃいそうで、絡められた指に力を入れて握り返したら、一也は少し照れて嬉しそうに笑った
一旦ホテルに戻って、一也はバットを持って公園に向かった
広い公園で至る所でバット振ってる
他校もいるみたいだなぁ…
あそこでギャイギャイ騒いでるのは沢村くんと轟くん
かなりうるさいけど会話になってないのが、らしくて和んだ
「こらこら、苦情が来て公園使えなくなっちゃったら困るでしょ？お静かに」
沢村くんと轟くんを引き離して、あっちは真田くんにこっちは一也にそれぞれ怒られていた
「じゃ、雷市は引き取ってくから
Aちゃん、おやすみ」
「おやすみなさい
初戦頑張ってね」
「そっちもな」
バイバイと手を振ってから思い出した
「あ！真田くん！」
オフの時に言われたアレ…
ちゃんと断らなきゃ
待ってるって言ってくれたけど、待たないでって
「いきなりなんで？御幸と付き合ったの？」
「まだ…」
「ふーーん、なるほどね。まだって事はAちゃんあいつのこと好きなんだ」
見透かされてる…ニッて笑った顔がちょっと憎たらしい
誰かさんと一緒の笑い方するんだもんなぁ…
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作者名：彩葉 | 作成日時：2021年6月17日 20時
