No.33 温泉on ice 開幕 ページ44
sideA
エッジの痕が残っていないまっさらな氷を眺めていると、色々なことが頭に浮かぶ。
それは、幼い日の俺たち2人から始まって、6年前のあの日のこと、散々悩んだつらい日々と枝分かれし、ついには先程の勇利の背中に追いついた。
勇利は、この勝負に勝てるだろうか。
勝って、この又とないチャンスを掴めるだろうか。
掴んだはいいが、世界へ羽ばたいて、怖気付いたりはしないだろうか。
イヤホンを耳に差し込み、一心にアップを取り、決意を込めて靴紐を結ぶその後ろ姿は、そんな俺の思考を、完全に断ち切った。
それと同時に、そんな事を考えていた俺を情けなく思った。
勇利は勝つんだ。
今日も。
そしてこれからも。
「あ、いたいた。…A」
オールバックの勇利がそこに立っていた。
「その……帰ったら、一緒にカツ丼食べようね。ヴィクトルと、3人で」
一瞬、意味がわからなかった。
だけど、それは『絶対勝つから』という誓いなのだとすぐ気付く。
「ふふ、当然だろ？俺だって勇利のコーチなんだから！」
車椅子から降りて、勇利と正対する。
勇利の眼には、固い決意が滲んでいた。
「そばにいるよ」
抱き合いながらそう告げると、大きく頷いた勇利は待機場所へ戻っていった。
俺は勇利を信じる。
信じて、離れずにそばにいる。
だから勇利は、何も心配しないで。
勇利が思うままに、スケートをすればいい。
それで不安になるのなら、お前以上に俺が信じるよ。
勇利が勝つ、って。
ヴィクトルを巡った2人のユーリの戦いが、今幕を上げた。
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駄人間K(プロフ) - ☆Rin☆さん» ありがとうございます！更新頑張ります！！ (2017年1月6日 21時) (
レス) id: c389418083 (このIDを非表示/違反報告)
☆Rin☆(プロフ) - この作品のおかげでユーリ沼にはまりそうで怖いです（笑）更新ヾ(〃＾∇＾)ｏ ﾌｧｲﾄｫｰ!!楽しみにしてます♪ (2017年1月6日 21時) (レス) id: f2c4ea5338 (このIDを非表示/違反報告)
夏生まれ - 楽しみにしています！！ (2017年1月5日 19時) (レス) id: 80ea5835ea (このIDを非表示/違反報告)
駄人間K(プロフ) - 夏生まれさん» ありがとうございます！！ハピエン、最後にはみんな笑えるよう、これからも更新頑張っていきます！これからもよろしくお願いします！！！ (2017年1月5日 8時) (レス) id: c389418083 (このIDを非表示/違反報告)
夏生まれ - このお話好き！！ちょっと、切ないのがたまらない…けどハピエン期待してます！！ (2017年1月4日 22時) (レス) id: 80ea5835ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：駄人間K | 作成日時：2016年12月1日 10時
