OVER, advance #3 (ページ9)

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○緊張/緩和ページ9

なんかちょっと……今の自分に違和感。

「どうしたの？」
「ん、なん……つーか、ね」
「なぁに？」

クスッと笑ったAが、なかなか行動に移さない俺の代わりに、チュと小さく唇を合わせてきた。

「……やべぇ」
「うん？」

鼻が合わさっているこの至近距離に、今さらドキドキする。

キスなんて、コイツとだってもうたぶん何十回もしてるはずなのに……

「翔？なんだか……変？」
「おおいに自覚はある」
「どうしたの？」

笑うAが揺れて、振動が俺に伝わる。

あぁ、そうだ。顔を見てるから駄目なんだ。
腕の中に隠しちゃえば、いいんじゃね？

「っ、翔……？」

突然ギュッと抱きしめられて、Aは驚いた声を上げるけど。

「いいな、それ。もっと呼ばれたい」
「改めて言われたら恥ずかしいから」
「A」
「……ん」
「呼べよー！」
「きゃ、や！ンっ、やめて！」

くすぐって、じゃれ合って。
照れる感じとかを全部誤魔化して、勢いに任せてたくさん抱きしめた。

「はぁっ、もっ、お腹痛い……」
「弱いんだなー身体触られんの」
「だって。そんな意地悪するんだもん」

あ。ちょっと怒った？

やっべぇ……何これ。可愛い……

「っ、もぅ……誤魔化してる？」
「いや？やっと、慣れた」
「どういう意味？」

普通に甘いキスをするのが、慣れた。
っつーか……しないでいられなくなった。緊張してる場合じゃねぇって感じ？

そこからはもう、何度も何度も触れ合って。
その先のキスに進むべきかどうかを散々迷って。

「ん……翔？」

お試しでかるーく唇を舐めたら、思い通りに物足りなさそうな目で見てくるから……

「ハァ。しょうがねーなー」

全部Aのせいにして、徐々に深く絡めていく。

Aはすぐに呼吸を乱して、ソノ気たっぷりに応じてくる。
俺もマジでヤバイ、このままじゃ……

「や、……止めないで」
「止まんねーよ。だけど……」

もう一度腕の中にギュッと囲って、自分の胸に押しつけるように強く抱きしめた。

大きく息を吐いて、Aが欲望を落ち着かせているのが分かる。

「眠れそう？」
「無理」
「ハハッ！寝ろよ」
「……“明日”になったらいいの？」
「バーカ。それじゃ、あと数分とかだろ」
「じゃあ……太陽が昇ったら？」
「いいから寝るぞ」

確かにコイツの言う通り。じゃぁ“いつなら”イイんだって話で。

だけど。とりあえず今は……ね。
このまま、穏やかに眠ろう。