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一緒に、と彼が言った通り……タイミングは同じ。
そして繋がったまま、お互いに呼吸を整えた。
その間、彼の重みが嬉しくて、つい頭を撫でるように触れていた。
女にこんなことされるのは、嫌？……そんな気もしたけれど、脱力する無防備さが可愛らしいというか……
それで気付いた。
今まで、こんな余韻に浸るようなことは無かった。
この人はいつだって、さっさとシャワーを浴びに行ったり、私を放置して自分の衣服を整えたり……
でもそれは当たり前のことで。私だって、それで良いと割り切っていたはずだったのに。
「ん？どうした？」
「っ、どう、して？」
「何……哀しそうな顔してる……」
肘と膝で自分を支えて少し起き上がった翔が、まるで涙でも出たのを拭うように目元を撫でてくるから、私はむしろそれを起因に鼻の奥がツンとした。
何でもないのと呟いたけれど、納得のいかない顔でジッと見下ろされる。
そう……よね、誤解しちゃうよね？こういうことをした後に浮かない顔だったら……
「私は贅沢者だなと思ったの。それまで要らなかったことが、今さら過去に遡って、全部欲しくなったというか……」
「俺のこと？」
「……大きく捉えるとね」
「全部……やるよ？足りなかった分も」
ワケが分からないことを言い出した女に、こんなにも優しい。
十分よ。こんなキスをくれるだけで……
これ以上与えられたら、怖くなる。
これが当たり前になって。また次を求めて。そして……いずれ失望するんだから……
「起きる？」
「ん」
「はぁー今度こそベッドで落ち着くはずだったのになー」
「ふ、ふふ。でも私……こういうのも好き」
「本日、イレギュラーが過ぎるだろ？それにしても……」
また反省会が始まったみたい。
よいしょと私を抱え上げてくれて。
そのまま、背中にかかる手が離れなかったから、彼に体重を預けてみた。
「さてとー風呂入って寝ますかね」
「ん。じゃあ一緒に、」
「あ！今日はやめとくから！これ以上イレギュラーなことになったらマジで俺は俺にガッカリだわ」
「……ガッカリ、なの？」
「いやっ、それ自体個々はサイコーなんですよ？でもさ、色々とあんのよ、俺の思う付き合いはじめの……ね、色々……」
よく分からないけれど、彼が持つ理想の形がきっと色々あって？
……それを全て崩せているんだとしたら、それのほうが私は嬉しい気がする。
だけど、ブツブツ言っている彼の様子を見ていると、とても言葉にできないなと思った。
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作者名：みつな
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月14日 22時
