OVER, advance #3 (ページ14)

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●期待/待機ページ14

良かった。喜んでくれている？

マジかぁと何度も言う彼の声音は弾んでいたから、余計なことかと散々迷った分、嬉しくなった。

「ちょっとさ、いい？」
「ん？」
「……待ちきれない」

車が静かな通りの路肩に寄せられ停まって。
彼が、息をついてハンドルをぎゅっと握りしめた。

「そっち行ってもいい？」
「……うん」

やけにドキドキした。
この流れなら、お弁当のことと分かるけれど。
でも、こういう雰囲気は……独特で。

「よぉ、シュー。ちょっと窮屈だけど我慢しろよー。あ、コイツの前で食わないほうがいい？」
「それは大丈夫。でも、大丈夫かな……」
「何が？」
「お口に合うか心配になっちゃって」
「大丈夫。ダメならダメって言うから」
「えぇー」

意地悪に言う彼は、すぐにフッと笑って私の手に触れた。

「……これじゃお弁当取れない」
「コッチのが食いてぇかも……」
「えぇ？」
「あ、発言が不適切でした。失敬失敬」
「ふふ。それはじゃぁ、少しおあずけ……ね？」

私にとっては、全然不適切なんかじゃなかった。

嬉しかった。やっと、ストレートに求めて貰える……

だから握られた手に、そっと唇で触れた。

「こらー。そういうことしねぇの」
「ん……食べる？」
「べんとーね。弁当を、食いまーす」
「強調しなくても分かってるから。いくら私だって、こんな所で襲わない」
「ハハッ！」

彼の笑い声に、シューの耳がピクンと動いた。

なんだろう……どうしてこんなにも幸せなの……
ちょっと馬鹿馬鹿しいやりとりなのに、胸が高鳴り過ぎて苦しくなる。

「いっただっきまーす！……」
「……どう？」

お肉の一口を入れたところから、時間は経っていた。
私は待ちきれなくて、自分から聞いてしまった。

「……やべぇ」
「だめっ？」
「すっ……げー……好みの味！」
「本当？」

すぐにモグモグ何口も放り込むから、彼はもう喋れなくてウンウン頷いた。

「マジで何これ！なんか資格とか持ってんの？」
「やだ、大げさよ」
「あー……すげぇ幸せ……」

目を閉じて味わう姿に、私は抱きつきたくてしょうがなくなった。

「ん！よし行くか！あとは家で食う！」
「そうなの？ふふ、じゃぁ最初からそうすればいいのに、」
「うっせーな。食うのも我慢出来なかったし、食ったらもっと……色々我慢出来なくなったんだよっ」
「……え？」

そして。その感情は私だけじゃないのかもと思ったら……もっと、待ちきれなくなった。