La ｆｉｎｅ6 ページ6
―――カラン…。
夜風だけの聞こえる心地よい静かさの自室で、グラスに入った氷が音を立てた。
「………」
昨夜あった出来事は今でも繊細に、的確に覚えている。それほど衝動的だったのだろう。
あの女の事………そしてあの女が言った言葉を。
【また明日も来てくださいね！】
敬語を使うな、と言ったのに最終的には使ってたことを思い出し、フッ…と軽く笑ってしまった。
あの女の脳は相当なお花畑のようだ。きっとアレが世に言う天然？というものであろう。
「………」
カラン、とまたもや音を立てる。その音を合図にしたかの様に、椅子に座り机に脚を乗せたまま天井にある天窓から空を見上げてみた。
「……来てください、か」
空に輝く満月は少し欠けていたものの、昨日より……いや、生きているうちで一番輝いている気がした。星たちも満月に負けんようにと輝いてる気がする。
……気がするだけだ。
「………チッ……」
何故だろう。何故俺はあの女のことばかり気にする？確かに危なっかしくて見てられないが、自分が見ておかなければ死んでしまうのではないかとは思う。だが、たったそれだけのことでこんなに…………。
…こんなに……なんだ？
「……めんどくせぇ」
……もう一度会ってみれば、何か分かるかもしれない……このムシャクシャした気持ちが何なのかを。
もしかしたらそれは手を焼く子供を持った父親のような気持ちなのかもしれないが。
俺はベットの上に放り投げたエクステを付け、マントを羽織るとバルコニーの窓を開けた。
『―――今日もいつもと同じ日で―――』
「……また歌ってやがる……」
吹きこんできた夜風にのって聞こえた声は、昨日さんざん聞いて聞き飽きた声だった。
それでも聞いた途端、何故か嬉くなってしまう。そんな自分に矛盾してることは十分理解しているつもりだ。
「………」
…ふと思った。俺が女について知っているのは、日伊のハーフで歌が上手いだけ。それ以外は知らない。何故目に包帯を巻いてるのか、ずっと病室に閉じこもってるのか、
「…名前……」
肝心の名前すらも知らない。
だったら聞いてみりゃぁいい。
自分で自問自答を繰り返し、俺は少しだけ口に弧を描くと……、
―――タンッ。
満月と星が輝く闇夜に飛び立った。
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百合異乃(プロフ) - この作品、すごく楽しく読ませて頂いてます!!更新頑張って下さい！ (2015年6月6日 22時) (
レス) id: f4284e7a16 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 初めまして！ すごく面白いです！！ ザンザスの素直な気持ちが出てて読んでて楽しいです！ 更新楽しみにしてます！！ (2015年1月24日 19時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀iove - 面白かったです＾＾最新楽しみに待ってます!! (2014年9月1日 10時) (レス) id: eb2b47b9ce (このIDを非表示/違反報告)
MiA - この小説がスゴく好きです。ずっと応援してます!!! (2014年6月22日 21時) (レス) id: 9f43537076 (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王１５８世(プロフ) - ボカロ隊長＠タピオカさん» え、何言ってるの？全部だよ(｀・ω・´) 私の主は全てが最高なんです！ (2013年11月6日 15時) (レス) id: e4f608cc50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ボカロ隊長＠タピオカ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bokarotaityou/
作成日時：2013年10月21日 19時
