La ｆｉｎｅ16 ページ16
『……夜風、冷たいですね』
俺の胸元に顔をうずめたまま、Aはそういった。
「………」
こういう時、なんて返せばいいのだろう。いつものようにうるせぇと返せばいいものの、何故かコイツには言ってはいけない気がした。
……さんざん言っておいて、何をいまさらためらっているんだ。俺は。
だが、いざ言おうとしても喉に突っかかる。きっと言った後には先程と同じような苦しみが来るのだろうか……それだけは避けたい。
…………別に俺はこいつのために言うのを止めるわけではない。苦しみを味わいたくないからやめただけだ。
「……あぁ」
考えた結果、やはりいつもと変わらない返し方になった。そっけなくとも、きっとコイツは分かってくれるだろう。……たぶん。
『………ッザンザスさん！ありがとうございましたっ！！』
Aは背中に回していた手をパッと話すと、明るい声でそう言った。
いきなりの事に俺は反応できず、なすすべもなくAは腕の中からするりと抜けて行ってしまった。
……温かさがなくなり、夜風の冷たさが伝わる腕がやけに寂しく感じた。
「何がだ」
『え、いや〜……ザンザスさんに抱き着いて、私！ザンザスさんから元気をもらいましたのでっ！』
「……そうか」
その理由は嘘であろう……何故俺に抱き着いたのか、理由を聞きたかったが聞けなかった。なぜなら自分では元気な声と笑顔でそう言ってるつもりなのであろうが、実際は今にも泣きそうな震えている声と作り笑いでそう言っている。これでは聞くに聞けない。
『…すみません、ザンザスさん。なんか私、今日はもう疲れちゃって……帰ってもらえますか』
「あぁ？」
帰れだと？……ふざけた事を抜かしている。
俺はまだ、お前に聞きたいことがたくさんある。
「まだ帰らねぇ」
『……っ……何でですか…？』
泣きそうな声でそういうA。
何でかって？
「そんなの―――てめぇが心配だからだ」
『―――ッ！！』
こんな目の前で、今すぐにでも泣きそうなコイツを放置できるわけがない。ただでさえ危なっかしいのに……。
『……んで……ッ』
「……？」
『……私別に、心配されるような状態じゃありませんので。大丈夫ですから、帰って下さい……お願いします…っ…』
力の入っていない両手で俺の背中を窓の方角に向けて押す。その時発した声は先程よりも震えていた。
『お願いですから………帰って………。私に優しくしないでください……っ……』
「…何でだ」
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百合異乃(プロフ) - この作品、すごく楽しく読ませて頂いてます!!更新頑張って下さい！ (2015年6月6日 22時) (
レス) id: f4284e7a16 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 初めまして！ すごく面白いです！！ ザンザスの素直な気持ちが出てて読んでて楽しいです！ 更新楽しみにしてます！！ (2015年1月24日 19時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
雲雀iove - 面白かったです＾＾最新楽しみに待ってます!! (2014年9月1日 10時) (レス) id: eb2b47b9ce (このIDを非表示/違反報告)
MiA - この小説がスゴく好きです。ずっと応援してます!!! (2014年6月22日 21時) (レス) id: 9f43537076 (このIDを非表示/違反報告)
エリザベス女王１５８世(プロフ) - ボカロ隊長＠タピオカさん» え、何言ってるの？全部だよ(｀・ω・´) 私の主は全てが最高なんです！ (2013年11月6日 15時) (レス) id: e4f608cc50 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ボカロ隊長＠タピオカ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bokarotaityou/
作成日時：2013年10月21日 19時
