序章 2 ページ3
「監督生くんが元の世界に帰る方法を見つけました」
4章──スカラビアでのオバブロ騒ぎの時、
それ以来、なにかを調べているのを見たことがないが本当なのだろうか？当然の疑問である。
「あくまで”手がかり”です。えぇ、”手がかり”ですがね！」
疑問が顔に出ていたのか、焦ったように弁明する学園長。
手がかりでもいい。早く聞きたい。
「焦らさないでくださいよ」
「ええ、ですがお紅茶が冷める前に飲んでしまいましょう。お砂糖は？ミルクはどうしますか？」
このバカラスは、どうしてもお茶会を開きたいようだ。
仕方なくベッドから出て、椅子に座った。
「それで、”手がかり”の話なのですが…これを見てください」
学園長から手渡された紙束を見ると、1人の男のことが書いてあった。
「
「これって…」
資料によると、彼は熱砂の国出身のダンサーで仕事に向かう途中に行方不明になったそうだ。
そして3年後に見つかった。
彼が言うには、”1週間ほど見知らぬ土地で彷徨って、助けてくれた現地民と歌って踊ったら帰って来れた”そうで、熱砂の国の民らしいエピソードだと思った。
しかし、歌って踊るというのが帰る鍵なのだろうか。
もしそうであるなら、VDCの時に帰れたのでは？
マネージャーではあるが、練習の時、多少は踊ったし歌った記憶がある。
「…ってか、時差あるじゃないですか。浦島太郎現象なっちゃいますよ！？」
たかが3年、されど3年。我が祖国では8年程で死亡届が受理されるのである。
帰っても”死んだことになってました〜”とか洒落にならない。
「ウラシマナントカは知りませんが、説があります。
彼の時は”繋がり”が不完全だったんです」
不完全？
「彼は
それに加え、現地民が”彼が故郷に帰れるように”祈ってくれたそうです。これ、もう儀式ですよ…」
「えっと、つまり”繋がり”をより強固なものにして我が祖国の方式で祈ってもらうことが鍵となる？」
大正解！と頭をわしゃわしゃされた。やめれ！
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作者名：げんきのこ | 作成日時：2024年3月16日 15時
