【友達へ】 (ページ20)

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先生はそれ以上何も言わずに、少しの間鏡を見つめその場を後にした。

足音が聞こえなくなるまでお互い陰に隠れたまま何も話さなかった。

マ「おい。」

『…。』

先に話し出したのはマルフォイだった。
私はしゃがみ込んで顔を沈めたまま何も言わなかった。

マ「気分でも悪いのか？」

いつもなら絶対こんなこと言わないのに今日に限ってそういうこと言う。

『…別に。』

俯いたまま発せられた自分の声は震えていて鼻声で。

マ「…は。何で泣いてるんだ。」

マルフォイにそれを気づかれるのもあっという間だった。

『…花粉症。』

マ「…今日はもう解散だ。」

『今日はって何…。もう集まる気ないから。』

マ「…ﾊｧ。」

呆れたように遠くを見て溜息をつくマルフォイ。
これじゃ自分が駄々をこねている子供のようだ。

マ「部屋に戻るぞ。」

『先に戻ってどうぞ。』

マ「…。」

『な、なに。』

目線を合わせるようにしゃがんだマルフォイ。
驚いて思わず目を逸らしてしまった。

マ「…っ。ダンスパーティーの日。19時にホグワーツの連絡用通路の橋で待っててやる。」

『は？ちょ、何勝手なこと―ｺﾞｼｺﾞｼｯ!

最後まで話させないようにマルフォイは制服のセーターの袖で私の顔を強く擦ってきた。

マ「当日はそんな汚い顔して来るなよ。僕に恥をかかせるな。」

『…っ。』

真剣な顔で目を見ながらそう言われれば思わず頷いてしまいそうになったけど。

マ「…お前も早く戻れよ。」

それだけ言うと早足で男子寮の方に行ってしまった。

失恋と、恋敵に対する自分の無力さを知った今日に限ってそういうことしてくるマルフォイは、

『…ズルすぎる。』

――――

『ただいま。』

ハ「お帰り。どこに行ってたの？また図書室？」

『んーん。…マルフォイと会ってた。』

ハ「…はぁ！？」

『ダンスパーティー誘われた。』

ハ「ちょっと待って。話が読めない。」

『誘われた、けど。OKしてない。』

ハ「…私が決めることじゃないけど、マルフォイの誘いに応じることをオススメするわ。」

『な、なんで？』

ハ「最近のナマエには色々ありすぎたもの。少しは気晴らしするのもいいんじゃない。」

『う…。;』

ハーマイオニーの言葉は説得力があり過ぎて全部正しいんじゃないかって思ってしまう。

『か、考えとく…。』

話を曖昧にして、その日は寝ることにした。

昼寝の代償が襲いかかることもなく、その日は意外にもすんなりと寝付いてしまった。