やぶくんとひかるくん（短編集）

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光side



あの日から1週間。

いまだにやぶと話せてない…




俺が傷つけた次の日、薮の目は少し腫れていて。


きっと俺が泣かせたんだろうな…


薮は滅多に感情的になって泣いたりなんてしないから…




俺、すげぇ酷いこと言っちゃったんだって
また自覚して反省する。



もちろん自分の心の中で何回反省したって
何も変わらないことは分かっているから、

やぶに謝ろうとはしてるけど…



楽屋で一緒になったりしたときに話しかけようとすると

｢ねぇ、や『知念ーロケ楽しみだなぁ？』｣

って感じで…あの日から完全に避けられてる。



…これが当たり前だよな

薮の気持ちも分からずにあんなこと
言う俺を誰が愛してくれるんだよ


…そう振り切れたらどれだけ楽なんだろう




だけど、俺にはそんなことできなくて。





“もうやぶとは一生このままなのかな…”


“なんでやぶにあんなこと言ったんだろう”


“やぶは俺のことを嫌いになったのかな…？”




気がつけば頭の中は薮ばかり。



こんなんじゃダメだって思って気分転換に
ベースを弾いてみたりしたけど全然意味なくて、


“この音楽にやぶの歌声を乗せたらどれだけ綺麗だろう”


…どこまでも、俺は薮でいっぱい。




いつのまに…自分でもびっくり。



薮と話せない日がこんなにも辛いなんて。


やぶと触れたり話したり出来なければ出来ないほど、
俺の中の薮がどんどんでっかくなってくる。



だけど…やぶを見るとそんなこともなさそうだから
やっぱり俺なんかには飽きたんだな…




素直になれなくてなかなか好きって
言ってあげられない俺より、

小さくて甘えん坊な知念とかのほうが
何億倍も可愛いもんなぁ



隣にいてくれた時はやぶが俺を好きなことが
いつの間にか当たり前になっていたけど、

好きでいてくれたことが奇跡だったんだ。




あれからずっとやぶは自分の家に帰ってるみたいで
うるさかった俺の家は静かすぎる。



やぶが美味しいって言ってくれるかな？って
想像しながら作った料理も食べてくれる人がいない今は
ただの単純作業になってしまう。

だから大ちゃんを呼んで料理を振舞ったけど
やっぱやぶが美味しいって言ってくれるのが1番だよ…




少し大きめのベットに1人で寝ると
やぶを、匂いを、感触を思い出してまた辛くなる。


もう、元には戻れない…？

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