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カタカタと聞こえるキーボードの音に、バタン、と勢いよく開かれた扉の音が混ざる。


「やあやあおはよう!」

『太宰さん。おはようございます』



敦くんや谷崎くんが続いて挨拶を返す。
今日も相変わらずの遅刻だ。



「おはようAちゃん。あまり眠れなかったかい?クマ、出来てるよ」

『嗚呼いえ……なんだか最近怖い夢を見てしまって。でもこんなの平気ですから』

「あまり無理しないようにね」



ありがとうございます、とお礼で返す。
今日もサボる気なのか私と会話をした後はソファに思い切りダイブしてしまった。


仕事も大分進んできた頃、敦くんが読んでいた新聞に目を通すことにした。

書かれているのは失踪事件。もう何件か連続で起きているらしい。
おそらくこの謎の失踪事件と、この前調査した路地裏の血痕と何か関係がある筈。

本当にもうすぐ異能力者が現れるとしても、まるっきり手をつけない訳にはいかないし。時期にまた調査に行くだろう。


一休みに紅茶でも飲もうか、と席を立つ。

然し朝の頭痛が今になって再発した。


(……痛い)


痛みは朝以上に酷い。頭を金槌で連続で叩かれているよう。
その様子を見られないように、無理矢理足に力を入れ、そそくさと給湯室へ向かった。

誰もいない。助かった。


「……また貴方なの」


そう、自分の「影」に告げる。
黒い、闇の、化け物。不完全な人の形をした、影。

自分の影からもぞもぞと這い出でる。

私の異能力。
自律型の傀儡。

不完全な形で譲渡された、父親の禁忌の力。
私は拒んだ。嫌だ、嫌だと叫んで。そんな能力、欲しくなんて無いと。

この化け物を操るには代償はあまりに大きすぎるから。

拒んだ。拒んでしまった。
それが、私の過ちだった。

本来ならきちんと、完全に渡される筈だったのに。私が、直前で拒んでしまったから。

だから、不完全な異能力になってしまった。
結果、制御不可能なものへと姿を変えた。
けどまあ、探偵社に入ってからは前よりは制御出来るようになったが。

……本当はもっとちゃんと、「人の形」をしている筈だった。少なくとも、父親が操っていたものは。

私のは​──影を纏った化け物だ。


『……っ!痛…い!』


ふと、鋭い痛みが脳を刺す。
思わずその場に蹲る。

視界がチカチカと点滅した。
意識が​朦朧とする。

異能の影が足元で蠢く​​──その時。



「Aちゃん!」



愛しい人の、愛しい声がした。

私の意識はその瞬間に離された。


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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - サンゴさん» ありがとうございます……!忙しくなるピーク前に、出来るだけまとめて書きたいと思ってます……。 (2018年12月28日 19時) (レス) id: 133caaaf3b (このIDを非表示/違反報告)
サンゴ - 嗚呼〜続きが気になります!ゆっくりでも良いので無理せず更新頑張って下さい!(遠回しに消さないでと言っている笑) (2018年12月28日 18時) (レス) id: f7865afa83 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - みかげさん» とりあえず書けるところまでは書いてみようと考えています……。とても励みになります、ありがとうございます。 (2018年12月27日 22時) (レス) id: 133caaaf3b (このIDを非表示/違反報告)
みかげ - この小説私すごく好きです!なので消さないで下さい!あ、でも1読者の意見として聞き流してもらって結構ですよ!厚かましくてすみません! (2018年12月26日 20時) (レス) id: 9a6b1a518e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年12月23日 13時

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