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六勝目 ページ44

「ふ、複数持ってる人もいるの!?」

「大罪と同じく美徳も複数人いる。
 そりゃ、複数持ちも居るよなァ」

「…何とも言えないな」

 能力のこともあってか、納得するのが早い。
まァその方が俺としては有り難いんだけど。

「んで、凹ちゃんを巻き込みたくねェらしいけど、
 あの子”勤勉”だぜ?」

「…だろうな、予想は出来てた。
 だが、ヘコを危険にさらすわけにはいかない」

「青春だなァ。
 …で、竹梅?」

「何だ?」

「慈悲も連れてきたいんだけどさァ、俺アノ子苦手なわけだよ。
 …な?」

 ヤナセはチクバイにウィンクする。
チクバイは納得したようにうなずいた。

「なるほど、断る」

「何でだよ!?」

「俺も彼は苦手だ。
 自分で行け、仲いいんだろ」

「仲いいのは別だし」

 誰の話をしているのか…と考える必要もない。
何故なら、考えても分からないからだ。

「んで、代わりも分かんねェじゃん?
 どーすんだよ、竹梅」

「勤勉もいない。
 二人いないならそれでいいんじゃないか?」

「…愛徳ちゃん、別の人とか知らねェ?」

「ごめん、なさい…私、あんまり…詳しく、なくて…」

 ナルエ先輩の目に涙が浮かぶ。
ヤナセはそれを見て慌てだした。

「ごめんごめんごめん!
 泣かないで、泣かないで、な?」

「慶、女性を泣かせるのは最低だぞ。
 …一帆ちゃん、大丈夫ですか?
 ハンカチどうぞ」

「ご、ごめん…
 洗って、すぐ、返す…ね」

 年下にも敬語なのにタメになった…
もしかして、知り合い?

「小学・中学の友人ですよ。
 先ほど話に出た傲慢の子や憤怒の子もです」

「私、だけ…別の、高校に、行っちゃって…
 それでも、皆、仲良くしてくれて…」

「彼らは俺たちが何とかできるかもしれませんね。
 俺たちというか…主に一帆ちゃんが」

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作者名:future*show | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年3月30日 13時

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