六勝目 ページ35
「歌舞斗、起きろ!」
「…おはよう、トツ」
「おはよう!」
時計を見る。
…何だ、まだ二時じゃないか。
「夜中に起こすな。
俺はもう少し寝てる…」
「寝てる場合じゃない!」
必要以上にうるさく慌てているトツ。
…嫌な予感、というものが頭によぎる。
「ヘコに何かあったのか?」
「え?いや、凹は大丈夫」
「ならいい。おやすみ」
「寝るな!」
布団を剥ぎ取られ、しぶしぶ体を起こす。
…どうやらボケている暇はないという事が分かった。
「フィクサーとモンスターが…脱走した」
「…え」
「消滅軍基地も爆破された。
…ハヴェリックさんが、やけどを負った。
他の研究員もだ。
それで、家にこんな手紙が届いた」
渡された手紙を見る。
…差出人は不明だが、大方の予想はついた。
「…カイト」
「内容は?」
「…
”親愛なる匿名歌舞斗様。
おれたちは復讐を遂げるために脱走しました。
どうぞお友達もつれて三月三十一日に
元パーティー軍第二基地へお越しください。
特別なゲストとともに、お待ちしています
小原快人・小原寛人”」
「行くのか?」
「俺に売られた喧嘩だ。
行くに決まってるだろ。…だが」
少し気になることがある。
「…お友達もつれて」
「凹も連れて来いってことか。
どうするんだ?」
「手伝え」
ベッドから降りて服に手を通す。
首から下げたペンダントを握り締め、願った。
「…ニイサン、俺に力をくれ」
「おいおい。偽停はまだ死んでねぇだろ?」
冗談っぽく笑うトツ。
…離れているのが心細いのは初めてだ。
ペンダントを外し、トツにかける。
「変身能力が入ってる」
それだけ言うと、トツは満足そうに笑った。
「…任せろ、歌舞斗」
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作者名:future*show | 作者ホームページ:
作成日時:2021年3月30日 13時