後へ続け少年少女 (ページ30)

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六勝目ページ30

「…ありがとうございます」

「アタシが持ってても意味ないからネ。
　女の子は着こなしてなんぼだヨ、お姫様」

「お姫様って呼ばないでください…」

　ため息を吐き、肩を落とす凹ちゃん。
姉さんが昔着ていた、可愛らしいパジャマを装着している。
レースとか、リボンが付いている。

「…あの、お姉さん。
　初対面で聞くのは少し抵抗があるんですけど…」

「何だイ？」

「お姉さんは、何で腕と足が片方ずつないんですか？
　…言いにくかったらいいです」

「言いにくくはないヨ。
　気になるのはしょうがないことだしネ」

　俺は黙ってイヤホンで耳を塞ぐ。
…聞きたくない。聞きたくない…

「過ぎてゆく時間思い出せぬ時
　現を抜かして
　本当をささやいて君は誰に酔ってるの？」

「千鳥足でパブクロール
　縦社会の横スクロール
　酔いを回して「ねェ、今何時？」
　ごまかしの言葉でまた…」

「「”ねぇ少し酔っちゃったみたい”
　”ねぇ貴方の近くに居たい”
　惑わされるもんか
　消えられてたまるか
　騙したつもりなら甘すぎる」」

「耳元で囁いて首の方に噛みついて
　俺に愛された跡を残して」

「まだ夜は続いてる
　さぁ、もう一杯」

　自分の声が聞こえる。
少し変な感じはするが、嫌いではない。
別の曲も聞きたい。できれば、綺麗な時代の…
…これにしよう。

「走っていく白兎
　うっかり落とした金色のウォッチ」

「追いかけてしまったヒロインは
　穴に落ちて真っ逆さま」

「ようこそ不思議な世界へ
　ここに来たらもう逃げられないぜ」

「残念でしたわねそうここは
　わたくしが支配するワンダーランド！」

　不思議の国のアリスをテーマにした映画の主題歌。
始めて俺と竹梅がオシバイで共演した作品。
…懐かしいなァ。戻りたくはねェけど。