愛なのはわかってるよ。／緑 ページ7
ピピピ、ともう何年も聞いてきたアラームが頭に入ってきて、意識が暗闇から浮上していく。
寝相は良いほうなので掛け布団から大きく身体がはみ出していることはなく、しかし異様に寒気がするのがわかった。
確か今日から明日明後日にかけて大寒波が予想されていたはずだ。天気に関する情報には常にアンテナを張っているため、覚えている。
だけど今使っている掛け布団は羽毛の、ほんとに100人中100人が「暖かい」と言えるほど機能性抜群のものである。それなのにこんなに寒さを感じるのは一体。
起き上がってベッドから出ようとした時、掛け布団と自分の肌が擦れ、謎のむずむずを感じた。
あー、ちょっと待て。これって俺もしかしなくてもやらかした？
ある状態の時にだけ感じる謎のむずむず。掛け布団をすっぽり被っていてもする寒気。
どちらも大寒波のせいかと問われると、答えはノーである。悔しいけど。
はいお疲れ様でした、あなたは立派な病人でーす。…と、脳内で俺に向かって俺が喋ってくる。
認めたくはないが身体の状態からして認めざるを得ないため、文句はため息に変換して外へ出した。
ベッド横のサイドテーブルに仕舞ってある体温計を取り出し脇に挟む。風邪を認めてしまったからか動きがすべてゆっくりになってしまう。
そのままぼーっとしていると体温計の音が鳴り響いた。画面を見るとそこには『38.2℃』の文字。
「……しんど」
これたぶん見なきゃよかったやつだ、だって今めちゃくちゃ後悔してるもん、余計に身体重くなった気がするし。
この熱で、このしんどさで仕事に行くのは少々無理があるだろう。普通のサラリーマンだったら休みの連絡入れるだろうな。
しかし自分はサラリーマンではなくアイドルだ。芸能界に身を置いている以上、ちょっとやそっとの風邪でその日の仕事をキャンセルするのは憚られる。幸か不幸か、症状は熱と怠さと寒気だけで、咳や鼻水といったものは出ていなかった。
重くて動かない自分の身体に喝を入れて、なんとか寝室から出て準備を進めようと動く。
食欲は無いっちゃ無いけど、お腹に何かを入れてから薬を飲まなきゃ効かないって言うし、少しだけ食べよう。
服はなるべくもこもこしてるやつ。冬だしそんなに目立たないのはありがたい。
気づいたら迎えの車が到着していて、気づいたら俺はその車の中で寝ていた。
準備の時の記憶は、必死すぎて何も覚えていなかった。
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同期ゆり組担 - さんかっけいさん、ありがとうございました。とてもおもしろかったです！投稿、お疲れ様でした。 (2023年3月21日 20時) (
レス) id: ecb79bbb8a (このIDを非表示/違反報告)
さんかっけい(プロフ) - 同期ゆり組担さん» リクエストありがとうございます。書かせていただきました！若干内容の差異はあるかと思いますが、ご満足いただけると幸いです！ (2023年3月21日 16時) (レス) id: 354f0ed835 (このIDを非表示/違反報告)
同期ゆり組担 - またもや、リクエストよろしいでしょうか？ あべちゃんが５人のお兄ちゃん達にわがままを言いまくって困らせてかまってもらう、というお話が見たいです。細かい設定はお任せします！よろしくお願いします！ (2023年3月6日 23時) (レス) id: 67b27e02af (このIDを非表示/違反報告)
さんかっけい(プロフ) - 同期ゆり組担さん» こちらこそありがとうございました！ (2023年2月23日 12時) (レス) id: 354f0ed835 (このIDを非表示/違反報告)
さんかっけい(プロフ) - Mさん» ご感想ありがとうございます(^^♪ 励みになります！ (2023年2月23日 12時) (レス) id: 354f0ed835 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんかっけい | 作成日時：2023年1月28日 3時
