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佐「おい、康二！」
佐久間が飛び出し、康二のそばに駆け寄る。
佐久間の声はじゅうぶん大きく、康二の耳にも聞こえているはずなのに彼は無視してずっと手を洗い続けていた。
佐「康二！！こっち向け、って！」
向「……ない、から、」
佐「なに？」
向「っ、きたない、から、！！くろ、黒いの、取れん…！さっきから、ずっと洗ってんのに、黒いの、取れない…！！」
佐「…黒いの、って」
康二の目線を無理やり変えて、手洗い場から離れさせようとするが、康二は「手が黒い、黒いのが取れない」と繰り返し、手は水から離れているのにまだごしごしと擦っている。
その光景がなんとも痛ましく、俺は駆け寄って康二の手を掴んで握り締めた。綺麗な手がこれ以上傷つかないように。
「康二、康二、聞こえる？」
向「ゃ、いやや、きたな、い…っ」
「康二、康二の手は汚くなんかないよ、そんなに擦ったら怪我しちゃうから」
なんとか話を聞いてもらおうと、康二の視界に俺の顔が映るように合わせる。
すると康二と目が合い、うわの空だった言葉も止まる。
やっと話ができる。
そう思った瞬間、握っていた手が勢いよく振りほどかれた。
「っ、…え」
向「触らんといて！！！！」
目「康二！？」
佐「ちょ、どうしたのこーじ！落ち着いて、」
向「いやや！！っわからん、おれ、2人に何するかわからんもん…！！！」
＿2人に何するかわからない。
そう言う康二の目は怯えているように見えたが、俺と佐久間を怖がっているようには見えなかった。
俺と佐久間に近づくことで何かやらかすかもしれない康二自身を怖がっているのだろう。
＿たぶん原因はその時見てた夢なんだろうなって思う。
探しに行く前、照の言っていたことを思い出す。
細かいところまではわからないけれど、きっと康二の夢の中に俺と佐久間が出てきて、俺たちに何かしてしまったんだろうと想像がついた。
それならば、ここはもう夢の中じゃなくて現実世界であること、夢の中で何をしたのかはわからないけど、今ここにいる俺たちには何の影響もないことを教えなければ。
俺は振り払われた手をもう一度伸ばし、康二の手をぎゅっと、優しく握り締めた。
向「っ、や、はなし」
「康二聞いて。…夢ん中で何されたかはわかんねえけど、俺は、俺たちは大丈夫だから」
向「……、でもっ」
「康二」
＿＿っ嫌い嫌い嫌い嫌い！！！！！！！
「嫌いになんかなんないよ」
向「っ……！！」
…声が聞こえたような気がした。
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香さん - しょっぴーのだてさんの呼び方を良太にするともっといいと思います (12月2日 20時) (
レス) @page22 id: 5b7efd0466 (このIDを非表示/違反報告)
さんかっけい(プロフ) - みりぃ（緑璃）さん» ご感想ありがとうございます…！励みになります(_ _)今後も精進して参りますのでよろしくお願いいたします！ (2022年12月22日 20時) (レス) id: 354f0ed835 (このIDを非表示/違反報告)
みりぃ（緑璃）(プロフ) - テンポのいい文章が読んでてとても心地良いです。これからも更新を楽しみにしてます (2022年12月22日 17時) (レス) @page44 id: e9c37a05cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さんかっけい | 作成日時：2022年12月4日 2時
