第10話 ページ12
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予期せず目の前に現れた天城一彩くんは、なんというか綺麗な人だった。
もちろん顔立ちもだが、それだけではなく澄んだ声音や礼儀の良さが溢れる佇まい。
今までこれらはライブだから、ファンの前だからそうあるのだろうと思っていたが、ステージを降りても感じる彼の気品は、根っから滲み出ていた。
「?なんだい?僕の顔に何かついてるかな?」
天城一彩くんに話しかけられて、はっと我に返った。
いや、これはやばい。
王子様じゃん。
そりゃ藍良、この子のこと好きになるよ。
このままいると藍良に申し訳ない気持ちになってしまいそうな気がして、私は慌てて取ってくれた過去問を受け取った。
「あ、ありがとうございます。取ってくれて」
「ううん、お安いご用さ」
お礼を言うと、天城一彩くんは屈託なく笑った。
うっ、眩しい……。
お礼を素直に受け取れる子なんだ。
きっとたくさん愛されて育ったんだろうな。
なんか保護者のような気分で天城一彩くんを見ていると、天城一彩くんは少し俯いて頬を掻いた。
まずい、もしかして見過ぎた?
視線がキモかったのかもしれない。
そう思ったが、天城一彩くんは「ほんとは、」と話し始めた。
「困っている人を助けるのは男子として、というか人間として当然のことだと思うのだけど、」
「?うん?」
話の要領が掴めなくて、疑問符がついた相槌を打ってしまった。
話が伝わっていないことを感じ取ったのか天城一彩くんは、ようやく顔を上げた。
「君を助けた理由。不純な動機もあったんだ」
「……不純な動機?」
水色の綺麗な、宝石みたいな瞳。
その中に私を捉えた彼は、柔らかく、少し恥ずかしそうに微笑んだ。
「君が、僕の好いている子にあまりにもそっくりだったから」
……ねぇ、藍良。誰があんたの片思いだって?
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赤憑(プロフ) - ウォッキャギャキ(ャッキャイ!!ー映像が乱れておりますー え〜、可愛すぎませんこと??藍良くんも一彩くんも!!応援しています!頑張ってください。PS︰差し出がましいのですが私の作品を見て頂けると私が発狂します。(?) (2023年3月15日 20時) (レス) @page12 id: 805737b448 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまり(プロフ) - 赤憑さん» とんでもない褒め言葉ばかりいただいて本当に恐縮しています笑 ありがとうございます!ひいあいの恋愛成就は藍良ちゃんがどれだけ一彩くんに心を開けるかが重要だと思っているので笑 ぜひ藍良姉とともに見守ってほしいです^ ^ (2023年3月9日 16時) (レス) id: 93a047970d (このIDを非表示/違反報告)
赤憑(プロフ) - 叫び散らした…笑 主さんがとても面白い方だからこんな面白い作品ができるんですね!!藍良くんが片思い…ですか……え、かわいっ。 え〜、なにそれ、めちゃくちゃ可愛いんですが (2023年3月8日 23時) (レス) @page7 id: 805737b448 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまり(プロフ) - 赤憑さん» ギャー!!そんなふうに言ってもらえるのめっちゃくちゃ嬉しすぎて叫び散らかしました!!気まぐれ更新ですが頑張ります!ありがとうございます!!! (2023年3月7日 10時) (レス) id: 93a047970d (このIDを非表示/違反報告)
赤憑(プロフ) - え、うっわ…何これ。神作ジャン…!?え?え?え?ずっっと求めていた作品なのですが!?なんで人気出てないんだ、!!!応援しています!これからも頑張ってください! (2023年3月6日 22時) (レス) id: 805737b448 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ましゅまり | 作成日時:2023年2月26日 16時