おとなりさんのそらるさん。【歌 い 手】

おとなりさんその35 ページ37

＊まふまふ Side＊


　
あの、衝撃的なバトル大会から3日ほど経った頃。
俺とうらたさん、さかたんにセンラ君がそらるさんに呼び出された。
あの後の事は、かいつまんで聞いているけど……

　
「…は？あの野郎が居場所突き止めたって？」

「うん、この前。」

「マジかよ…」

　
どうやらうらたさんとさかたんは事情を知っていたらしく
うらたさんは心底不機嫌な、めちゃくちゃ怒っているような低い声で言葉を吐き出していた。

　
「そういえば…水藻さんは？」

「今はまーしぃが一緒にゲームしてるはず。」

「浦島坂田船は知ってたの？」

「うらさかは直接聞いてますね、僕や志麻君はそこまで詳しくは知りません。」

　
センラ君からも黒いオーラが見えている気がする。
そらるさんは何かいい案があるんだろうか。



「それで、どないするんそらるさん。」

「んー…これはね、まふまふ。」

「え、俺ですか？」

「お前が好きな人に他に相手がいたらどうする？」

「そりゃあ…その相手を潰しに…って何ですかいきなり！」

　
俺の心境はどうでもいいでしょうよ！と言おうとしたのに、そらるさんはやっぱりねと言っている。
あ、待ってもしかして…その、この前の弟さんって……だよねぇ。

　
「うん。あいつの心を砕いてやろうかって思って。」

「へ？どうゆうこと？」

「あー…確かにそれならそらるさんが1番適任か。」

「え？どうゆうことやうらさん！」

「つまり、そらるさんが水藻とデートするとこをあえて見せて。
　乱入したところをボッコボコにしてやるってことだよ。」

「なるほど！それえぇな！」

　
ねぇ、なんでみんな察してくれたの？俺そこまで歪んでないからね？
まぁいいや、俺も今回は結構怒ってるし…協力しないわけがない。
そしてこんな時に不謹慎だけど、あわよくばそれでこの2人がくっつけばいい。

　
「んじゃ、まずはあいつ見つけることからですかね。」

「それなら手分けするか、駅で見つかったんだからその駅の近く探せばいるだろ。」

「それで、あの時に遭遇してる俺やセンラ君を見ればつけてくるよね。」

「そんなにうまくいくやろか…」

「成功させないと…あのままじゃAが危ないし。それに……」

　
そらるさんがゆらりと立ち上がった。
黒いオーラを身にまとって、怖いくらいの微笑みを浮かべて。
…そらるさんって、柔道と空手黒帯だよね……

　
　
「これ以上、Aを傷つけさせない。」

　
うん、カッコイイな。そらるさん。

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