おとなりさんのそらるさん。【歌 い 手】

おとなりさんその18 ページ20

＊うらたぬきSide＊

　
えーどうも、うらたぬきです。
本日は郊外のアウトレットモールに来ています。
今日は天ちゃんともう1人一緒です、んでその理由が……


　
「…服を選んでほしい？」

「うん。」

「なんでまた急に？」

「え、いや…その…」

　
そう、今日はもう1人…Aが一緒で、俺らは呼ばれたわけなんだけど。
服を選んでほしいといってきた彼女、まぁ理由はなんとなく察したけど…
Aの服は引きこもりのおかげで、依頼してきた人と外で話すときに使う
オフィスカジュアルな服が何着かある以外はほとんど天ちゃんのブランドだ。
そしてそれが外で使われることは滅多にない。

　
「そら…彼方さんと出かけんだろ？」

「…そう。」

「マジで！？なるほどね！」

　
俺の一言ですべてを察した天ちゃんがニヤニヤとした視線をAに向ける。
これまで俺や坂田、天ちゃんと2人で出かけるときはそんなに気にしなかったのになぁ？
いや、こいつのセンスはそれなり…いや、結構いいんだけど。

　
「んで？そのデートの服装を選んでほしいと。」

「で、デートじゃないよ？」

「いや、デートって思わなきゃこんなに気にしないだろ。」

「任せてよA、俺もうらたんもそらるさんとは付き合い長いから！」

「そーそー」

　
そう言って、天ちゃんと視線を合わせる。
おそらく俺たちの思惑はシンクロしただろう『絶対この2人くっつけよう』と。
頷き合って、俺達3人はモール内を移動し始める。

　
「んー…やっぱり清楚系だよな。」

「だよね、分かる。」

「ってわけでここら辺行くか。」

「おっけー！」

「…誘ったの私だけど、頼んだのも私だけどさ…？2人ともなんでそんなに詳しいの…？」

「「たまに見るから。深い意味はない。」」


　
多分この言葉を言った俺と天ちゃんの顔は表情を失くしてただろう。
天ちゃんは勉強してるはずだし、俺がたまに買いに行く服屋にも
レディースはあるし……うん。選ぶ相手がいるわけではないのだ。


　
「ねぇこれは？？」

「お、いいじゃん。なんか上に羽織るもの欲しいな。」

「だよねー…」

「それなら、これとか？」

「A、イイの選ぶじゃん。」

　
天ちゃんが持ってきた薄い水色のワンピースに、Aが合わせたのは紺色のカーディガン。
俺はそれに白のカバンと靴を合わせといた…完璧じゃん。


　
「頑張れよA。」

「俺達応援してる！」

「…ありがと」

　
くっついたら2人とも盛大にからかうからな。

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