オトナリサン。 2nd (ページ9)

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【55】難題へのもどかしさ。ページ9

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「やっぱ相手はあのコンビニくんかぁ･･････てことで、俺が納得する解答を頼みますよ？」

「納得って、」

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難題の要求に思わず言葉が詰まる。

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「とにかく！アナタとは必要以上に関わりたくないんです！」

「なんで？」

「なんでって･･････」

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本気なのか、ワザとなのか。

二宮和也は答えを求めて私の目をジッと見つめる。

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「だってそれはアナタが、」

「俺が？」

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芸能人だからであって─────

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･･････なんて、言えるはずもなくて。

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「ん？俺が、なに？」

「あ、いや･･････」

「何よ？」

「いや別に。」

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明らかに口籠ってしまう自分に、少し苛立ちながら足早に歩く。

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「･･････ふーん。まあ別にいいけど。」

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諦めたのか、私の少し後ろを歩いていた二宮和也の言葉から気怠さを感じた。

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そしてそのまま、二宮和也は私を追い抜かして先を歩いて行く。

･･････本当に嫌味ったらしいったらありゃしない。

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二宮和也に付かず離れずの微妙な距離感のままマンションに着き、

2人してエレベーターに乗り込む。

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「さっきの答えさ、」

「･･････さっき？」

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階数ボタンを押したオトナリサンがボソッと呟いたから、思わず聞き返した。

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「住む世界が違うから、とか言うんでしょ。」

「えっ。」

「コンビニくんは芸能人じゃないしね。」

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いつもとは違う、オトナリサンの乾いた笑い声。

だからか、何だか調子が狂う。

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「え、いやなんて言うか、その、」

「いいよ、気ぃ遣わないで。それが事実だし。そうでしょ？」

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自嘲する二宮和也の言葉が、何だかグサッと胸に刺さる。

“そうでしょ？”って言葉は、違わないはずなのに違うって思っちゃって、

何とかこの気持ちを言葉にしたいと思うのに、肝心な言葉が出てこない。

･･････ああ、もどかしい。

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そうしてる間にエレベーターは私達のフロアに着いて、二宮和也が先に歩き出す。

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「･･････待って！」

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先を歩くその背中を呼び止めたら、ピタッと歩みが止まった。

でもコチラを振り向く素振りも見せず、背中越しで「何？」と一言。

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私はその背中に向かって、一歩だけ足を進めた。

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