07.カヌレ (masai) ページ8
.
ガチャ
『あ、いきなりすみません。今日隣に引っ越してきたAです。これ、お口に合うか分かりませんがよかったら…』
そっと差し出されたのは、去年の冬に駅の近くにオープンしたと聞いたことがある、洋菓子店のロゴが入った紙袋だった。確か、商品によってはかなり人気で、オープン前から並ばないと買えないとか。
「あ、すみません。ありがとうございます。」
『ここのカヌレ、すごく美味しくて大好きなんです!よかったら食べてください。』
本当に好きなんだろうなというのが伝わるいい笑顔で言われて、俺もつい気持ちが緩んで返してしまう。
「確か駅前の所ですよね?すぐ売り切れるって聞いたことあります。」
『あ、そうなんです!でもわたし会社がこのお店のすぐ近くで、出勤前に寄れちゃうんです(笑)もしお口に合ったら言ってくださいね!いつでも買ってくるので(笑)』
「あ、そうなんすね。ありがとうございます。いただきます。」
『あ、あの、もし良ければお名前聞いてもいいですか?』
そろそろ会話を終わらせて部屋に戻ろうかと思っていた時に耳に入ったその言葉。
「あ、マサ…」
つい癖で出てきてしまった"マサイ"。
ギリギリの所で止めたが、目の前のAさんは不思議そうにこちらの様子を伺っている。
『えっと、マサ……くん?』
「あ、…はい」
『マサくんて呼んでも大丈夫?』
「あ、大丈夫っす」
なんとか"マサくん"の方向で行けそうなので、それに乗っかることにした。
『じゃあ、マサくん。これからお隣さんとしてよろしくお願いします』
「あ、はい。こちらこそ」
笑顔で言われて、それに対して笑顔で返すと、Aさんはぺこりとお辞儀をして隣りの部屋へ帰っていった。
.
それが、俺とAさん、もといAさんの出会いだった。
ちなみに、Aさんがくれたカヌレとやらはすげー美味かった。
.
116人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まる(プロフ) - いちごだいふくさん» 嬉しすぎるお言葉ありがとうございます(;_;)こらからも頑張るのでよかったらまた来てください★ (2018年12月5日 20時) (レス) id: 8f13031ebc (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふく(プロフ) - すっごい面白いし夢主ちゃんのキャラよきです、、!!これからも頑張ってください! (2018年12月5日 14時) (レス) id: 0069fa8620 (このIDを非表示/違反報告)
omame790(プロフ) - 優夕花さん» コメントありがとうございます!初コメとても嬉しいです(;_;)ぜひこれからも読んでやってください★ (2018年12月4日 21時) (レス) id: 8f13031ebc (このIDを非表示/違反報告)
優夕花 - すごく面白い!!これからも楽しみにしてます!! (2018年12月2日 14時) (レス) id: 2afc75a520 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おまめ | 作成日時:2018年10月14日 1時