生まれ変わっても忠誠心は変わらない【ホウエンにて＿＿】

大誤算2 ページ4

「僕は石が大好きなんだ。
自分でさすらいの石集めと名乗る程ね。
だから君の指輪に埋め込まれてる宝石が欲しいんだ。」





要するにコレクションにしたいということなんだろう。

そしてコイツが石好きだってのも恐らく嘘じゃない。
だって俺と向き合ってから騎士のリングしか見てねぇもん。俺の顔全く見てねぇもん。

顔を見ないとなると俺の一撃必殺とも言えるイケメン技は使えねぇし…………。






一か八かだな……………。






俺はパーカーのポケットに入れておいた“あるもの”を取り出した。
そしてそれを隠すようにしながら拳を胸元まで持っていった。
そしてリングを下げていた首紐を引きちぎり、リングから宝石を外すような“素振り”を見せた。




ずっと宝石を見ているので通常より慎重にやったが、歓喜の表情を見せているところ上手く騙せているようだ。




次に俺は、最初取り出した“あるもの”をギュッと握りキャッチボールする時の雨の守護者(山本武)のように構えた。

野球経験はゼロなので完全に見様見真似である。
流石に電柱やコンクリートの壁にめり込ませることは出来ないがある程度は飛ぶだろう。




最後に、それを思いっきり投げる！！
そして俺は相手に背を向けて森へ思いっきりダッシュ！！

相手も投げられたものが宝石だと思い込んで俺に背を向け走り出した。





作戦は成功だが本当にさっき投げたものを失ったのは大きかった。
貴重な換金アイテムだったのだ。
今から換金しに行くところだったのだ。
しばらく俺は飯は抜きだな。

ダイゴとやらは絶対呪ってやる。
一生呪ってやる。
あ、ワタルとかマツバもな。





そして俺が森に足を踏み入れた時、街の方から聞こえたのが





「きんのたまァ！！！？？？」





と叫んだ声だった。





これで俺が何を投げたのかは分かっていただけただろう。

逃げ→←大誤算

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す