湧いて出てくる ページ17
「あ！目を覚ましたのね！！」
目を開けると青髪の女性が覗き込んできた。
綺麗な人だなぁ。
最近ずっとむさ苦しい男ばっかり見てたから癒される……。
だがこの癒しの空間は秒で壊される。
このひょっこりと顔を出した赤によって。
「やぁ、おはよう。
よく眠れたかな？」
ワタル……。
ふざけんなふざけんなマジふざけんな湧いてくんな寄るな来んな。
癒し空間を返せ。
「そんなに嫌そうにしないでくれよ。
フスベのみんなに君を紹介したいんだ。」
「帰る。」
「イブキ！！逃がすな！！」
「了解！！」
窓から逃げようとした俺をイブキと呼ばれたさっきの女性が押さえてきた。
クッ、女性相手じゃ本気になれない……。
大人しく力を抜いてその場に座り込んだ。
「ありがとう！！白影姉様！！」
「姉様ァ！？」
抵抗をやめたことに喜んだのか抱きついてきたがちょっと待て。
姉様ってなんだァ！？
俺が姉様発言に驚いてる横でウンウンと頷くワタル。
おい、お前いつの間に横に来やがったんだあっち行け。
っじゃなくて姉様ってなんだ！？
「え？白影様ってワタルのお嫁さんでしょ？」
ん？一発目から間違ってんぞ？
まさかコイツ嘘つきやがったな！？とワタルをキッと睨めばベトベトンの如くドロドロにとろけきった顔でこちらを向く。
こっち見んな。
このドラゴンアホは使いものにならん。
とにかく嫁じゃないと撤回せねば。
「強くてかっこよくて美しい白影様と繋がりが出来たと思ったのにーーー！！！」
真実を話せば残念そうに俺をギュウギュウ締め付け嘆く。
やめてください結構痛いです。
「やあ白影ちゃんやっと会えたね！！」
息を切らし窓からこんにちはしたのはマツバ。
なんで当たり前のように居るんですか怖いんですけど。
「千里眼でキミをを探してたんだ！！今日はいつもみたいに森に居ないからチャンスだと思ってここまで自転車で来たよ！！
いや〜森の中だと何処だか分からないからね〜！！」
アハハと笑いながら家に入ってくる。
声がデカい。うるさい。
っつーか千里眼ってなんだいつもみたいにってなんだなんで知ってるんだ！！
このとんでも男がとんでもねぇ事を言いやがったがもう知らん。
今は「何当たり前のように人の家に入ってきてるんだ」と怒っているワタルと格闘中だ。
俺がここから逃げるには今腰にくっついてるイブキさんを外さなければならない。
さぁどうするか。
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作者名：王子 | 作成日時：2021年5月18日 7時
