音と風の物語【Ｊuｎ.Ｍ】 (ページ22)

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＃２２．髪ページ22

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潤「君、ちょっと、」

モニターに集まる人の中からぴょこっと顔を出した松本さんが

私に手招きをする。

『っ、はいっ、』

びっくりして飛び上がるかのように駆けよった。

監督と目が合って、
あわてて頭を下げる。

監督「君の立ち位置を前に変えて
横顔のアップを入れたいんだけど」

『え、えっ？アップ、ですか？』

監督「本当はピンボケした状態でバックバンドをさらりと映す予定だったんだけどね。

まさかラッパ吹きが女性だと思ってなかったから。

しかも君なら映像映えすると思うし。」

大塚「すみません、伝えてなかったですね。
この曲の音入れから急きょ代役で入ってもらったんです。」

監督「いや、いいんだよ。バンドのことは君が管理してるわけだし。

こんなきれいな人があんな力強い音してたら
撮りたくなって。

大塚ちゃんも、いいかな。」

大塚「ハイ。Aも大丈夫だな？」

『は、、はい。』

私のいないとこで

そんな風に話が進んでたと思うと

ドキドキしたって
緊張してたって

はいっていうしか、なくて。

ど、どうしよう、、、

監督「じゃ、決まり。１０分後に始めるから」

監督の言葉に、
ドキドキが加速する。

くるりと楽器を取りに戻ろうとした時

突然声をかけられて驚いた。

潤「ねぇ、」

『はいっ？』

「くくっ、何その声(笑)」

『////』

あぁもう、ふいに声かけられたら・・・
声も上ずるっての！

松本さんに呼び止められたら

それだけで

緊張が高まる。

私、何か怒られるのかな、、、

さっきの真剣なまなざしが脳裏に浮かんで

恐る恐る顔を上げた。

でも予想とは違って

柔らかいい瞳が私をとらえたら

潤「髪の毛、おろしておいで。」

って、予想外のことを言われた。

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