音と風の物語【Ｊuｎ.Ｍ】 (ページ11)

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＃１１．よろしくねページ11

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「そこはこういう感じで吹けば音が飛ぶだろ。

あ、アーティキュレーションが違う、そうそう。

あと、楽器をこう構えたら華があるように見えるから
魅せる演奏もイメージして吹けよ。」

『はー、そっかぁ、そういうことね！

あ、じゃ、ここは？
こんな吹き方でいいですか？』

「うん、いいよそれで。
それだけできれば上等。」

よかった、疑問がいっぱい解決していく。

「そろそろ時間だけどどうする？」

『あと1時間だけ！スタジオ使えます？
・・・げほっ、ごほっ、、』

勢いよく言ったら
咳でむせちゃった、、

そんな私を見て
怪訝な表情を浮かべると先輩は言った。

「お前、、、さっきから思ってたけど
もしかして風邪か！？」

『昨日、、こたつで寝ちゃって。。。』

「ばか、お前無理すんな。

体調管理も仕事のうちだぞ。

今日はもうやめ。帰って休め。」

『・・・はぁい。』

そうだよな、、、先輩が言うのももっともだ。

これからもあるし、
それに従うことにして

楽器を片付けることにした。

時計は21時になろうとしている。

確認したと同時にほっとしたのか
おなかがグゥとなった。

帰っても一人だし
何かを作る元気もないし、、、

『先輩、、、帰るけど、早めには帰りますけど、

おなかすかないですか？』

どうせならと、
そう聞いてみたら

「お前昔から食い意地はってんの変わんないなー。

食べたらすぐ帰る。
約束できるなら連れて行ってやる。」

『わ、やった☆』

先輩はすごく面倒見のいい人。
私の気持ちを察してくれて

一緒に食事に行くことになった。

何食べようかな、
ちょっとうれしくなって

足取り軽く帰ろうと

エレベーターのボタンを押す。

到着したエレベーターが開いたら
キャスケットを目深にかぶったマスクの男性が降りてきた。

「あ、大塚さん、お疲れっす。」

「あれ、今からチェックですか？」

「近く通ったから、音源貰おうかと思って。
大塚さんリハ終わったの？」

「そうそう、こいつ新入りで。
一緒にリハしてたんですよ。
ほら、挨拶して？」

促されるままに

『美波Aです、よろしくお願いします。』

深々と頭を下げて挨拶したら

「こちらこそ、よろしくね。」

って

キャスケットを取って
マスクを下にずらし

笑顔を向けてくれたのは

松本潤さんだった。

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