1 reason ページ6
.
Joichiro side
.
.
家に帰ったら大橋が、ソファの上で蹲ってうめいていた。
「ただいま。え、何?」
「……じょ、くん……」
テーブルの上には食べかけのプリン。
額と首筋にうっすら汗をかいて苦しそうな表情の大橋。
状況を察した俺はすぐに台所へ胃薬と水を取りに行く。
大橋に胃薬を飲ませている間にプリンの蓋の賞味期限を確認して思わずため息をつく。
子どもか、こいつは。
「やばい、ほんまにお腹痛い…………」
「…救急車呼ぶ?」
「やめてや〜〜恥ずかしい………」
ふう、と息を吐いて横になった大橋が目を閉じる。普段は声もデカくてうっとうしいことも多いのに、弱っている大橋を見るとなんだか____。
「腹さすろうか」
大橋がコクンと首を縦に振った。
さすりながらそっと窺った大橋の顔は苦しさからかほんのりと赤く染まって、時々出す声はどうしてか艶っぽく部屋に響く。
何かの弾みですぐに壊れそうな理性を持ち直して「治ってきた?」と問いかける。
「うん。じょうくん、お母さんみたいや」
じょうくんにさすってもらったら治ってきたかも、なんて大橋が小さく笑う。
こうやってずっと一緒に暮らせるならオカンのままでいいかな、という気持ちと恋人になって愛を確かめ合ってみたいという気持ちが半々。
最近の俺は随分臆病者になってしまったらしく、10代の頃のような勢いのある恋が、できない。
「へへ、じょうくん」
「ありがっとぉ」
薬が効いてきて痛みは和らいだのか、安心したような大橋の規則正しい寝息が聞こえる。
本人には絶対言わないけれど、俺はこの気持ち良さそうな寝顔を見るのが好きだ。
「…どういたしまして」
友達、家族、恋人。
どの言葉でも定義されない俺たちの関係は、それで良い。しあわせが続く限り、この関係に名前はいらない。
end.
.
.
.
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←3
195人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りーぽむ(プロフ) - .さん» ご指摘有難うございました。以後気をつけます。 (2019年10月20日 19時) (レス) id: 8c031656fe (このIDを非表示/違反報告)
. - 注意コメ消すとかする場合、即、違反報告しますので。無断転載は立派な犯罪になりますので。 (2019年10月19日 23時) (レス) id: 4e162cc742 (このIDを非表示/違反報告)
. - アイコン画像などにジャニーズなどの芸能人の画像を使用するのは無断転載っていう犯罪になりますよ?なので変えてくださいね。いくら、加工画でもアウトなので‥。運営または、サーバー警察に通報しときます。 (2019年10月19日 23時) (レス) id: 4e162cc742 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りぽむ | 作成日時:2019年10月16日 23時