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「…ん、」
事が終わったあと、決まって天元は私を甘やかす。
こうやって腕枕をしてくれたり
ぎゅっと抱きしめてくれたり。
そんな時間は、好き。
事の最中に言われる、「好きだ」の言葉も
まるで本当に愛されているんじゃないかって勘違いしてしまいそうになる。
だけど、嘘だって分かってる。
私を抱く男の人は、決まって皆そう言うもの。
それに、天元には三人の奥様がいる。
だから私を好きだなんてことは、絶対にない。
『…そろそろ、時間ね』
窓の方を見やれば、提灯独特の光によって赤く照らされていた暗闇は少しずつ陽光によって明るくなってきていた。
それは、私と天元の別れの合図。
「……また来るわ」
着流しを整えて、最後に髪を結った彼は
そう言って背中を向けた。
静かに閉められた襖の音を聞けば、
その場に訪れるのは静寂。
『……っ』
そしてその静寂の中で聞こえるのは、
いつも決まって私の嗚咽と鼻をすする音。
あぁ、私も彼と共に帰れたら。
そんな事、何度思ったか分からない。
だけど帰ることは許されない。
私は、遊女。
その道を選んだのも、私なのだから。
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メイデーア - 天元がヤバすぎる(イケメンすぎる)。 (1月12日 21時) (レス) @page28 id: 8fc649d94d (このIDを非表示/違反報告)
わかな - 面白い (2022年1月21日 17時) (レス) id: 3919d3be97 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - やばい…この音柱、相当カッコいい………!!!! (2021年5月6日 2時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
奏海(プロフ) - 環さん» 泣かないで…っ!ハピエン…にできるように頑張るっ!! (2021年5月5日 21時) (レス) id: d291d10447 (このIDを非表示/違反報告)
奏海(プロフ) - 柚葉さん» 全ては新章にて明らかになります…っ! (2021年5月5日 21時) (レス) id: d291d10447 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏海 | 作成日時:2021年4月20日 21時