拾弐 ページ13
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『………。』
部屋の中で一人、障子の張ってある窓を見る。
相変わらず提灯独特の赤い光に照らされる夜は愛と欲の渦巻く匂いがして、気持ち悪い。
そのまま外を見渡していれば、向かいの店の屋根上には大きな刀を背中に背負った愛しい人の姿があった。
あの日別れを告げた天元の姿を見て、
気持ちとは裏腹に涙が込み上げてくる。
__「…お前、ここ、出たくねえか?」
_『急に、何言って……』
__「つかもう出ろよ、身請けされろ」
_『…っ!天元にだけは、そんなの言われたくない…っ!』
“帰って!”
あの日、私は天元にそう告げた。
怒りに任せて言ってしまった言葉だったけれど、
天元にだけは言われたくなかったのだ。
身請けされろ、だなんて。
だってそれはつまり、天元は私の事を愛していなかったということでしょう…?
私を抱く時には、いつも「好きだ」って言ってたくせに。
無責任な人。
だったらあの時、いっそのこと私も殺してくれたら良かったのに。
そうしていれば、こんなに苦しむことはなかったのに
そう思ってしまう私は、きっと身体だけでなく
いつの間にか心まで汚れてしまったらしい。
鏡に写った自分の頬に流れる涙だけは、汚れを知らないかのように透明で、それが尚美しく見えた。
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メイデーア - 天元がヤバすぎる(イケメンすぎる)。 (1月12日 21時) (レス) @page28 id: 8fc649d94d (このIDを非表示/違反報告)
わかな - 面白い (2022年1月21日 17時) (レス) id: 3919d3be97 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - やばい…この音柱、相当カッコいい………!!!! (2021年5月6日 2時) (レス) id: 85bd249cc8 (このIDを非表示/違反報告)
奏海(プロフ) - 環さん» 泣かないで…っ!ハピエン…にできるように頑張るっ!! (2021年5月5日 21時) (レス) id: d291d10447 (このIDを非表示/違反報告)
奏海(プロフ) - 柚葉さん» 全ては新章にて明らかになります…っ! (2021年5月5日 21時) (レス) id: d291d10447 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奏海 | 作成日時:2021年4月20日 21時