その音柱、誘拐犯。【宇髄天元】

拾漆 ページ18

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翌日。

店じまいされ、あんなに愛と欲の渦巻いた派手な花道は一転、今は静寂に包まれている。


ここに住まう鬼は恐らく十二鬼月で、
それも上弦の可能性が高い。




この俺様が苦労してるってんだから
そういうことだろう。








だから早くあいつにはここから出て欲しいんだが
上手くはいかねえもんだな。






そんでこの静寂に包まれた時に動いてんだろ？





微かにだが鬼の気配がする。








…そういや。


ふと思い出した事実にまさか、と思い
背筋に嫌な汗が流れた。




俺は今日一日、昨日と同じところからこの花街全体を見ていた。






“今日、Aの姿を見ていない”






｢……まさか、な｣



嫁三人と連絡が取れないことに加え、
あいつの姿も見ていない。




派手に気が狂いそうだった。









…いや、たぶんもう狂ってた。









考えるよりも先に俺の足は鬼の気配がする方へと走り出していた。






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