おねがいだから失わせて【wrwrd】 (ページ10)

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p.m 6。昨日と違って、今日は快晴。

昨日、上履きを履いたまま帰ってきたため、母からはしつこく「いじめ？虐められた？」と聞かれた。別にそんなのじゃないと言っても、更に聞いてくる。仕方ないので私が「ちょっと能力のせい」と言うと母は「あぁ…」と言って台所に戻っていった。
こういうプライベート過ぎる話題になった瞬間、詮索しなくなるのが母らしいと言うかなんというか。

そう思いながら少し焦げてしまったトーストをパクパク食べる。けど、あまり食欲は無くって。水を駆使をして、私はトーストを胃に押し込んだ。食べたくなくてもお腹は膨らませておかないと、勉強が身につかなくなるから。
トーストを食べ終わったため、パパッと歯磨きを終わらせ、髪は丁寧に整える。何故かは分からないが、アイロンで少し絡まった髪を梳かす瞬間が何となく好きだ。ホントに理由はないのだけれど。私は
鞄を開き、忘れ物が無いか再確認する。

…大丈夫、いつも通りの日常を送っていればいいだけ。そうすれば変わらない日常が待っているから___そんな事を思っていたらピンポーンと朝からチャイムが鳴る。母は「朝から宅配？」と言いながらインターホンを覗き込んだ。母は"あらま〜"と頬に手を当てて

「A、あんたのお友達が来てるわよ〜」

なんて、母はニヤニヤしながら言ってくる。更に母は言葉を続けて

「"能力があれだから"って理由であんまり男の子と絡んでなかったのに、結局絡んでるじゃないの？青春ねぇ…」

なんて言う始末。…つまり、チャイムを鳴らしたのは男の子。それに、今までこんな事された事なかったのに。ということは、インターホンを押したのは…ロボロ君かコネシマさんという人だろう。私はそう思い、恐る恐るインターホンを覗き込む。

画面の先に居たのは雑面を付け、口元に弧を描いている…ロボロ君だった。私は思わず頭を抱えた。やっぱり能力は発動してたんだ。一体どうしよう…ここはロボロ君が先に行くまで家で待機しておくべき？…でも、家だと母の視線がある。
母には二人の男に触れてしまった事を告げていない。そんな事で母の悩みの種をあまり増やしたくないし、出来れば親にそんな話はしたくない。

私は嫌嫌ながらも、鞄を持って玄関の扉を開けた。開けるや否やロボロ君は私の直ぐ近くまで迫ってきて

「おはよう、A」

と妙に明るい声で言った。