陸拾陸 ページ19
「ああっ!しのぶちゃん、いいところに!見てみて、Aちゃん、すっごく可愛くない!?袴の白い椿が髪の色に合ってるわ!このあと、無一郎くんと、逢引なんだって!」
「まあ、本当ですね!とてもお綺麗ですよ、Aさん。逢引、頑張ってください!」
にこにこの笑顔でそう告げる柱のお二人。なんだか心に自信が湧いてきた。自然と表情が緩む。
「えへへ、蜜璃ちゃん、しのぶちゃん、ありがとう!私、頑張ってくるね!」
「うん!頑張って!あっ、無一郎くんのこと名前で呼んであげてねっ!キュンキュンしちゃうわ〜!」
蜜璃ちゃんのその言葉に、肩を揺らす。
すっかり名前呼びのことを忘れていた。
「ふふっ、Aさんなら大丈夫ですよ。」
明らかに不安の色を浮かべてしまっていたのか、しのぶちゃんが元気づけてくれる。
「ふ、二人共っ…!」
「頑張ってくださいね!」
「うっ、うんっ」
美人二人組と手を振りあった後、時透くんとの待ち合わせの場所へ向かった。
えーと確か甘味処の前で待ち合わせだよね。あそこ結構人少なくて穴場だから、好きなんだよね。
しばらく道を歩いていると、約束の場所が視界に入った。
その先に、愛しの彼が、一人、甘味処の壁にもたれかかった姿が目に飛び込んでくる。あまりに格好良かったものだから、つい、足を止めてしまった。
時透くんは隊服ではなく、着物を着て立っているのだ。隊服姿の時透くんも格好良くて好きだけれど、着物姿の時透くんも違った良さがあって素敵だ。風に揺れる髪が、とっても綺麗。
「っ、A?」
「!時透くんっ、お待たせしちゃってごめんね」
時透くんは、目を丸くして、こちらをみている。
えっ、可愛いッ…じゃなくて、!
と、心の中で叫んでいると、時透くんは、急に胸をおさえて、下を向いてしまった。
「えっ!?とっ、時透くん?大丈夫?」
時透くんの顔を覗き込むように見ると、
「だ、駄目っ、こっち見ないで」
必死に両手で顔を隠し、耳まで真っ赤にした時透くんの姿目にうつった。
「えっ、」
「っ、Aが、可愛すぎるから、」
まって、好き。
…いじわるしたい。
「ちょっと、時透くん、手どけてよ。」
「む、無理無理無理。」
「駄目だよ?
顔をさらに赤くする時透くんの耳もとでささやき、彼の顔に添えられた両手を少し強引に剥ぎ取る。時透くんから甘い声が漏れた。
__いつもは私がやられっぱなしだったし、今日くらい、いいよね。
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美雨音トウカ - なずなさん» そんな風におっしゃって下さるだなんて、とても嬉しいです!モチベーション凄くあがります…!これからも頑張って更新しますので、是非宜しくお願い致します! (4月21日 11時) (レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
なずな - 心臓が…爆発…しました……最&高です!!! (4月14日 16時) (レス) @page19 id: f22ade9e4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美雨音トウカ | 作成日時:2024年3月20日 0時