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道行く人々を気にもとめず、時透くんに気を配りながら、私はとにかく風を切った。日々の鍛錬のおかげで蝶屋敷まではあっという間だった。





「寝不足ですね。」

口になめらかな弧を描き、そう伝える彼女は、蟲柱の胡蝶しのぶちゃんである。小柄なのに柱にまで上り詰め、鬼を殺る毒もつくっていて、本当に尊敬している。そして美人。彼女を表すとするなら女神が最適だ。

「寝不足ですか…時透くん、無理していたのかな…」

ベッドに横たわる彼を見て不安げな表情を浮かべる私に、明るい声で「少し療養したら治りますよ!」と声をかけてくれる女神ことしのぶちゃん。その言葉に少し安堵する。

しのぶちゃんは他の隊士の方の診察があるらしく、その後すぐ、部屋を離れ、部屋に時透くんと二人。この状況だけで私の心臓は大きな音をたてている。

このままだと、いろいろと体が持たない。
しのぶちゃんの診察も終わったことだし、私も戻ろうかな。

時透くん、はやく良くなるといいな。

隣で規則正しい寝息をたてる時透くんを離れ、任務に行くべく足を動かした。

しかし、誰かに袖を引っ張られ、隊服の布が張る感覚がする。

恐る恐る後ろを振り返ると、青碧(せいへき)の瞳で私を見上げる美少年が私の隊服の袖を掴んでいる。しばらく見つめ合ったまま、無言が続いた。
その沈黙をやぶったのは、時透くんだ。

「行かないで、」

はい?

「一緒にいて、ほしい」





ついに私の耳は幻覚が聞こえるようになったらしい。

陸→←肆



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美雨音トウカ - ふゆさん» 申し訳ありません!!教えて下さって本当にありがとうございます…!へなちょこ作者で申し訳ないです。そして何度か読んでいただけてるだなんて、もう胸が嬉しさでいっぱいです…!本当にありがとうございます! (5月6日 9時) (レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ(プロフ) - 初コメント失礼します。とても素敵な作品で何度か読ませていただいています。ただ参拾弐が抜けているのでもし非公開にしてるなら公開お願いします🙇‍♀️ (5月3日 19時) (レス) @page33 id: 2415585283 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美雨音トウカ | 作成日時:2024年2月28日 23時

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