肆拾陸 ページ47
「とっ、時透、くんっ、」
実際には数秒の出来事は、私には数分に感じられた。
長いようで短い接吻を終え、また時透くんと視線が絡む。
「君は、Aは、僕のものだよね。」
ぼっ、僕の、もの!?
普段とは少し違う雰囲気の時透くんに胸をときめかせる。
「私の全ては時透くんの、だよ?」
耳まで赤くなりながら、そう返すと、目の前にいる彼は少し満足そうに唇に弧を描き、私の耳元で囁いた。
「じゃあ、僕以外の男に簡単に触ったりしないでね。」
「っ、うん」
これで終わり、かと思ったら、耳に甘い快感がはしった。
「っひゃあぅっ!?」
「…なんて声出してんの、すけべ。」
と言い、時透くんは私の頭にでこピンをした。
反射的に額を手で抑える。霞柱のでこピン、痛すぎる。額に穴が空いたかと思った。
「いったぁぁぁ!わ、私、すけべじゃないから!時透くんが、み、みみみ耳に接吻なんか、してきたのが、わ、悪いの!!」
「ふーん。」
「いや、反応薄っ!」
なんて、顔を赤らめながらも、今しか感じることが出来ない幸福を噛みしめる。
「…あっ、あのぉ…」
しかし、竈門くんの声を聞いた瞬間、体中が一瞬で凍りついた。
すっかり時透くんのことしか見えなくなってしまっていた。
そうだ、この部屋には竈門くん達も居たんだった!!!
ゆっくりと横に視線を移すと、顔が真っ赤に染まっている竈門くんと善逸くん。
「あっ、あ、あ、ごごごごめんね!!!」
羞恥心で体が熱くなり、口元を手で隠す。
それなのに、時透くんは窓から空を見上げてぼーっと立っている。
先程のSっ気は何処へ?
何で私だけこんなに赤くなってるの。
「はっ、恥ずかしいいいぃぃ…」
その場の空気に我慢出来なくなり、思わず部屋を飛び出した。
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美雨音トウカ - ふゆさん» 申し訳ありません!!教えて下さって本当にありがとうございます…!へなちょこ作者で申し訳ないです。そして何度か読んでいただけてるだなんて、もう胸が嬉しさでいっぱいです…!本当にありがとうございます! (5月6日 9時) (レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ(プロフ) - 初コメント失礼します。とても素敵な作品で何度か読ませていただいています。ただ参拾弐が抜けているのでもし非公開にしてるなら公開お願いします🙇♀️ (5月3日 19時) (レス) @page33 id: 2415585283 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美雨音トウカ | 作成日時:2024年2月28日 23時