参拾仇 ページ40
「…あー!そっか、本物なんだね!
えーと、どうしてここにいるの?」
「君のお見舞いに。」
「あはは!そうなんだね、ありがとう時透くん!
じゃあおやすみなさい。」
先程の会話が頭に蘇り、体中が震える。
なんとか現実逃避するために布団を頭まで被ろうとするも、時透くんがそうさせてくれない。
「逃さないよ。」
そう言って私の手首を掴む時透くん。
時透くんが私に触れている、という事実だけで呼吸が乱れる。
彼は私の心臓を何回爆発させるつもりだろうか。
すると、時透くんは私の寝ているベッドに座り、横から私の頭の隣に手をついた。時透くんのさらさらな髪が横に落ちる。
…いわゆる、床ドンというやつだ。いや、これは床じゃないから床ドンではないのか?
いやいや、そんなことはどうでもいい。
それどころじゃない。
時透くんが熱を帯びた瞳でこちらを見ている。
それに少し困惑して、目が泳ぐ。
「僕のことが好きって、本当なの?」
いきなり核心をついてくる美少年。
私の目は逸らされたままだ。
「えっ、と、そ、そんなこと、言ったっけ、??」
駄目もとで精一杯にとぼけてみる。
「そんなの、通用すると思ってるの?…嘘は駄目だよ。」
すると、時透くんは顔を私の耳もとに近づけた。
今までで一番、時透くんとの距離が近くなり、
肌と肌が触れる。
「はやく、本当のこと言って、A。」
時透くんの吐息が耳にかかり、体がびくりと震える。
は、初めて名前呼んでくれた…
「え、あ、私、」
時透くんとの距離の近さに体中が硬直する。
顔から火が出そうだ。
…しかし、ずっとこのままでいるわけにも、いかない。
意を決して、時透くんへの言葉を紡ぐ。
「私、と、と、時透くん、のことが、す、好き、で、す。」
言い終わった瞬間、唇に柔らかい感触。
初めての、接吻。
「僕も、好きだよ、A。」
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美雨音トウカ - ふゆさん» 申し訳ありません!!教えて下さって本当にありがとうございます…!へなちょこ作者で申し訳ないです。そして何度か読んでいただけてるだなんて、もう胸が嬉しさでいっぱいです…!本当にありがとうございます! (5月6日 9時) (レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ(プロフ) - 初コメント失礼します。とても素敵な作品で何度か読ませていただいています。ただ参拾弐が抜けているのでもし非公開にしてるなら公開お願いします🙇♀️ (5月3日 19時) (レス) @page33 id: 2415585283 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美雨音トウカ | 作成日時:2024年2月28日 23時