検索窓
今日:429 hit、昨日:987 hit、合計:30,099 hit

参拾捌 ページ39

___

ふと、意識が蘇り、閉じられていた瞳を開く。
映るのは、何度か見たことがある木材の天井。
おそらくここは、蝶屋敷の病室だ。
柱合会議のあと、意識が途切れたんだっけ。

「いやー、起きて時透くんがいるー、なんていう胸キュン展開は流石に起きないかー…」
「なにが?」
「ひゃぁ!?」

扉の方を向くと、時透くんが立っている。
いや、そんなわけない。だって、こんなに日が高いのに。彼はまだ柱合会議にいるはずだ。

「なんだ、幻覚か。
…って、まって、時透くんで思い出した。私が作ったふろふき大根どうしたっけ!?」

まだはっきりと冷めていない脳で、ひたすら記憶を遡る。
…ずっと時透くんの御屋敷の台所に置きっ放しだ。
んー、まあ時透くん食べといてくれてるかな。

「食べたよ。美味しかった。意外と料理できるんだね、君。」
「意外とってなに、意外とって。
ていうか、妄想の中の時透くんと話してるとかやばすぎだよね。どんだけ好きなんだか…」
「…好きって誰のことが?」
「君のことがに決まってるじゃん時透くん。
…なんて、本人に言えたら楽なのになーっ!」

と、幻覚の時透くんの瞳を見ながら言う。
幻覚なら何言ってもいいか、と開き直り、再び布団に戻る。

「…僕幻覚じゃないよ。」



…またまたあ!
これは幻覚の時透くんが言った、幻聴だな。



「…もーう、幻覚の時透くんもツンデレなんだから。」
「いや、この会話にツンデレ要素ないでしょ。」
「意外と料理できるんだね、のとこだよ。」
「結構前だね。あと、本当に、僕本物なんだけど。」

そんなわけがない。絶対にない。そんなことがあったら、私の人生終わってしまいます。

「だって、もし本物の時透くんだったら、今頃柱合会議に居るはずだし。」
「…君、丸一日意識が無かったんだよ。」

丸一日…?丸一日、丸一日、

………え、もう意識失ってから一日経っているということ?

…つまり、この時透くんは…?

「ちょっと失礼します。」

おそるおそる時透くんの手に自分の手を近づける。




手と手が触れる。




深く深呼吸をする。肺に新鮮な空気が巡る。



「…本物の時透くんだ。」
「うん。」

参拾仇→←参拾漆



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (25 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
55人がお気に入り
設定タグ:時透無一郎 , 鬼滅の刃
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

美雨音トウカ - ふゆさん» 申し訳ありません!!教えて下さって本当にありがとうございます…!へなちょこ作者で申し訳ないです。そして何度か読んでいただけてるだなんて、もう胸が嬉しさでいっぱいです…!本当にありがとうございます! (5月6日 9時) (レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ(プロフ) - 初コメント失礼します。とても素敵な作品で何度か読ませていただいています。ただ参拾弐が抜けているのでもし非公開にしてるなら公開お願いします🙇‍♀️ (5月3日 19時) (レス) @page33 id: 2415585283 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:美雨音トウカ | 作成日時:2024年2月28日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。