参拾陸 ページ37
と、まあ、禰豆子ちゃんに見とれていると、しのぶちゃんが血管が破裂、だなんて言い出すから、何事だ、と思って見てみると、
いつの間にか竈門くんが縄をほどき、冨岡さんが伊黒さんの手を掴んでいる。
…何があったんだ。
「禰豆子!」
竈門くんの声に、また我を取り戻し、再び禰豆子ちゃんの方へ首を向ける。
「っ、禰豆子、ちゃん、が、んばって!」
禰豆子ちゃんなら、絶対に、大丈夫。
緊張した空気の中、禰豆子ちゃんは、顔を不死川さんの腕からぷいと背けた。
…ほらね。大丈夫だった。
「どうしたのかな。」
「鬼の女の子は、そっぽ向きました。
目の前に血だらけの腕を突き出されても、喰らいつかなかったです。」
「ではこれで禰豆子が人を襲わないことを証明できたね。」
「…炭治郎、それでも禰豆子のことを快く思わない者もいるだろう。証明していかなくてはいけない。炭治郎と禰豆子が鬼殺隊の役に立てるということを。
十二鬼月を倒しておいで。そうしたら、皆に認めてもらえるよ。」
柔らかい表情で竈門くんに語りかけるお館様。なんだか頭がふわふわするような…
「俺は!俺と禰豆子は必ず鬼舞辻無惨の首に刃を振るいます!俺と禰豆子が必ず!」
「今の炭治郎には出来ないから、まずは十二鬼月を倒そうね。」
お館様にそう言われると顔を真っ赤にする竈門くん。うっ、辞めて、笑わせないで、肩が猛烈に痛いの!涙が出そうなくらい痛いの…
「鬼殺隊の柱たちは、抜きん出た才能がある。血反吐を吐くような努力をして、十二鬼月をも倒している。だから皆に尊敬されるんだよ。炭治郎も、言葉の使い方には気をつけるように。」
「は、はい。」
お館様のおっしゃる通り、柱様は素晴らしい御方ばかりだ。でも、風柱さんのことは暫くの間許さないですけど。
「それから、実弥、小芭内。下の子にあまり意地悪しないように。」
「…御意」
「御意…」
ふふっ、ざまあみてください。
「それと、A。」
「ぇっ、
は、はい。っぁ、」
急に呼ばれるものだから大きく肩を揺らしてしまった。
恐らく、この痛みはまた肩の傷が開いたことを知らせている。何回目…
「きっと、肩の傷が開いてしまっているはずだ。すぐに治療してもらっておいで。禰豆子のために体を張ってくれて、ありがとう。」
「っ、い、いえ、私はただ、その、」
何もしていないのに、急にお礼を言われ、困惑する。
「とにかく、自分を犠牲にするのは、控えるようにするんだよ。」
「ぎょ、御意…」
55人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美雨音トウカ - ふゆさん» 申し訳ありません!!教えて下さって本当にありがとうございます…!へなちょこ作者で申し訳ないです。そして何度か読んでいただけてるだなんて、もう胸が嬉しさでいっぱいです…!本当にありがとうございます! (5月6日 9時) (レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ(プロフ) - 初コメント失礼します。とても素敵な作品で何度か読ませていただいています。ただ参拾弐が抜けているのでもし非公開にしてるなら公開お願いします🙇♀️ (5月3日 19時) (レス) @page33 id: 2415585283 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美雨音トウカ | 作成日時:2024年2月28日 23時