拾肆 ページ15
また、冨岡さんの瞳が大きく見開かれる。
春にしては、冷たさが残る風が私たちの肌を撫で、空気がさらに重くなる。
「馬鹿な真似をするな。お前が死んだら、お前の好きな時透はどうする。」
「私は時透くんのことが好き、ですが、彼が同じ気持ちかはわからないですよ。それに、冨岡さんも同じことしようとしていますよね。私も竈門くんの妹さんは殺さないという判断をしました。これでもし、彼女が人を襲った場合、私にも責任があります。冨岡さんと師匠だけが切腹なんて、駄目です。
私だって、彼らのことを生半可な気持ちで生かしたわけではありません。それに、彼女ならきっと、大丈夫です。」
熱の籠もった目で訴えかける。
「…わかった。お館様と先生に伝えておく。」
あ、お館様には竈門くん達のことしっかり伝えてたのね。良かった。
「はい!ありがとうございます、冨岡さん!
あ、あとお礼の鮭大根です。」
といった瞬間、先程までの空気が嘘のように軽くなり、冨岡さんの顔が別人のように輝き出す。
時透くんがふろふき大根を見たときの表情なんか比べ物にならないくらい笑顔じゃないですか。
「そんな顔できるんですね、じゃなくて、
私は時透くんのところに行きますので!失礼します。」
「…感謝する。」
冨岡さんの言葉にグッジョブサインを向け、髪をなびかせる。
…まって、そういえばなんで冨岡さん、なんで私が時透くんのこと好きなの知ってるの!?
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美雨音トウカ - ふゆさん» 申し訳ありません!!教えて下さって本当にありがとうございます…!へなちょこ作者で申し訳ないです。そして何度か読んでいただけてるだなんて、もう胸が嬉しさでいっぱいです…!本当にありがとうございます! (5月6日 9時) (レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ(プロフ) - 初コメント失礼します。とても素敵な作品で何度か読ませていただいています。ただ参拾弐が抜けているのでもし非公開にしてるなら公開お願いします🙇♀️ (5月3日 19時) (レス) @page33 id: 2415585283 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美雨音トウカ | 作成日時:2024年2月28日 23時