拾弐 ページ13
あれから竈門くんとは別れ、今は冨岡さんの屋敷へ向かっているところだ。竈門くんの妹さんについて聞きに行こうと思う。
今回の任務先は少し遠いところだったので、冨岡さんの屋敷へつく頃には、日は高く昇っていた。
手を握り、扉を叩く。
「冨岡さーん、Aでーす。いらっしゃいますか?」
しーん
いや、なに、しーんって。絶対いるでしょ。
ここは私がこっそり持ってきたコイツの出番だ。
「冨岡さんー?いらっしゃいますよね?冨岡さーん?
…ああ、そうですか、出てこないということは私の手作り鮭大根いらないんですね!そうですかそうですか!じゃあ帰りますよ!?いいんですね!鮭大根が帰っちゃいますよ!」
と言い終わった瞬間、扉が勢いよく音を立てて開いた。
「…待て、いる。」
待て、いるって…
どんだけ口下手なんだ。主語をつけてください、主語を。
なにはともあれ、冨岡さんに会うことに成功した。
「冨岡さん!今日は聞きたいことがあって来たんです!」
「…なんだ。」
あいかわらず無愛想に答える。時透くんといい勝負になりそう…
「竈門炭治郎くんの妹さんについて教えていただけませんか!」
少しの間をあけ、答える冨岡さん。
「なぜそれを知っている。」
めずらしく、目を大きく見開く無愛想な、目の前の男。彼の無造作に束ねられた髪が風になびく。
「昨日、合同任務で一緒になったんですよ、それで竈門くんの背負っている木の箱から鬼の気配がしたからあーだこーだと聞いてみたら冨岡さんに許可を取っているみたいなことを言ってたんですよ。」
冨岡さんは少し考えた素振りを見せたあと、ただ一言発した。
「…上がれ。」
精一杯の笑顔でこたえる。
「ありがとうございます。」
よし、
水柱邸、潜入成功。
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美雨音トウカ - ふゆさん» 申し訳ありません!!教えて下さって本当にありがとうございます…!へなちょこ作者で申し訳ないです。そして何度か読んでいただけてるだなんて、もう胸が嬉しさでいっぱいです…!本当にありがとうございます! (5月6日 9時) (レス) id: 212377e0a4 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ(プロフ) - 初コメント失礼します。とても素敵な作品で何度か読ませていただいています。ただ参拾弐が抜けているのでもし非公開にしてるなら公開お願いします🙇♀️ (5月3日 19時) (レス) @page33 id: 2415585283 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美雨音トウカ | 作成日時:2024年2月28日 23時