【d!】落ちこぼれ探偵と、褪せた恋の愁い。 (ページ2)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:4,691 hit

2 ページ2

「ちょっとA、佐島(さじま)君とカラオケ行ったってほんと？」

昼休みになってすぐ、友達の茜(あかね)が私の席に凄い勢いでやってきた。

「うん、誘われたから行ったけど、どうかしたの？」

先日、佐島君に誘われ、隣のクラスの女の子も一緒に、男女数人ずつで近くのカラオケ店に行ったのだ。

そのときは、ただの人数合わせだ、とかなんとかいっていた気がするけど。

茜はじっと顔を近づけると、声を潜めた。

「クマリコが誘われなかったらしくて」

「熊谷(くまがい)さんか。そういえば、たしかにいなかったような……」

熊谷凛子(りこ)、通称クマリコ。今は隣のクラスの子だ。一度だけ同じクラスになったことがある。思ったことをすぐにいってしまう性格が、私は苦手だった。

だが、クマリコが誘われなかったからといって、なんだというのか。

それでね、と茜は続ける。

「クマリコ、あの性格だしもうわかると思うけど……一緒に行った女子に嫌がらせしてる」

「えっ、それってやっぱり、嫉妬……なのかな」

「そうだね。そうとしかいいようがないもん」

誘われたから行っただけなのに。ちょっと理不尽な話だと思った。

「どちらにしても、ほんとに気を付けてね。クマリコじゃなくたって、嫉妬してる女子、いるんじゃないかな」

「うん、私が言われることないと思うから。気を付ける、ありがとう」

茜が席を離れてすぐ、昼休みの終わりを告げる予鈴がなった。「もう終わり～？」などいいながら男子も、ぞろぞろと席に座っていく。

「あれ、次女子は学年合同体育だろ？」

「あ……うそ、忘れてた」

クマリコもいるクラスと合同体育。ついさっき茜と話したことはもちろん鮮明に覚えていた。不安を抱えながら、私は教室を出た。