軍パロ。BL (ページ8)

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八咫烏side、NOside

　八咫烏は、その場から動けなかった。

「…………………!?………」

シキの部屋の扉には鍵がかかっていたが、ダクトから侵入する事が出来た。なのでダクトから入ると、そこには不思議な空間が広がっていた。
　家具は全てアンティーク調で統一されており、大きな棚に幾つも並ぶアンティーク本、違う棚にはティーセットのコレクション。そのひとつひとつが美しく、八咫烏が異世界に来たのかと思う程だった。
　その中でも一際目を惹くのが、机に置いてある、開きっぱなしの小さな木箱に入ったガラス玉の様な物。光が当たる角度によって、赤、黒と色を変えて輝いている。他にも青や灰色、珊瑚色なんてものもあった。

「………、……！」
「…？………」
「………で！…、」

　八咫烏が色んな角度からガラス玉を眺めていると、何処からか小さく声が聞こえた。しかもかなり近くから。周りを見渡すも誰もおらず、扉、窓の向こうからの声もしない。

まさか、

八咫烏が鉄色のガラス玉を手に取り、耳に近づけると、思い切り顔を顰めた。

「もう、来ないでよ…、嫌だ、…！」

明らかな拒絶の声。そしてその声は、シキのものだった。八咫烏は弾かれた様にそのガラス玉を耳から離すと、木箱に乱雑に投げ入れた。そして、ふと気付いた。

ガラス玉に、何かが映っている。

それに気付いた八咫烏は、今度は木賊色のガラス玉を手に取り、そっと、覗いてみた。すると、そこには軍の幹部達がいるではないか。そして、小さく声も聞こえてきた。

「皆輝いてる…羨ましい…」

それを聞いた八咫烏は、大きく目を見開いた。
アイツは、一人でこれだけ大きく、重い負の感情を背負って生きていたのか。アイツの過去に何があった。

「お前の！お前のせいで！」

　一際、男の大きな怒鳴り声が聞こえた。八咫烏はそれを聞いた瞬間、持っていたガラス玉をそこら辺にぽいと投げ捨て、その声が聞こえるガラス玉を探し始めた。

ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ

木箱の中には思っていたよりもガラス玉が多く、中々見つからない。しびれを切らした八咫烏は、ベッドの上に木箱を逆さにしてガラス玉を全て出した。すると、案外簡単に見つかった。そのガラス玉は、ビリヤードグリーンの濁ったガラス玉だった。それからは今もまだ怒鳴り声が聞こえる。
　八咫烏はそれを恐る恐る覗いた。

そこには、八咫烏の想像を絶する光景があった。