【Undertale】元実験台は本当の愛を知ったらしい

誰か ページ7

『美味しかったです。ありがとうございました。』

嘘ではない。

(きっと味覚があれば)美味しかったです。ありがとうございました。

の、()の部分が省略されているだけだ。

だから嘘はついていない…多分。

「…イナサ、聞いてる？」

そんなことを考えていると、トリエルさんが私を心配そうに見つめる。

『…ごめんなさい、もう一度お願いします。』

怒られることを覚悟で言ったのだが、トリエルは怒る気配もなく、「どうしてここにきたの？」と尋ねてきた。

「ああ、言いたくなければ、それでいいのよ。」

…優しすぎるだろ。

この人が怒ったらどうなるのか、ちょっと見てみたいかも…

いや、そうじゃなくて。

『それが、わたしにもわからないんですよ。』

手首を切ったはずなのに、目が覚めたら、何故かここにいたのだ。

「そうなの？

…ここはね、地下の世界とはあかない扉で分断されていて、向こう側からは入れないようになっているの。

ここにこれるのは落ちてきたニンゲンのコだけなのに、あなたは何故か、扉の前に倒れていたの。」

『…あの、扉の先って。』

「スノーフルよ。」

『へえ…』

この質問に意味はない。ただの好奇心だ。

…あかない扉を経由してここまできたってことは、扉をくぐれる誰かが私を助けたってことなのだろうか？

っていうか、間に合うか？手首切ったらすぐ死ぬだろ。

…私を助けたのはもしかして、体のない幽体とか？

茶化したようにそう考えたが、それで思い当たる人がいるってのが恐ろしい。








…博士？

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