限界オタクの隣人事情 [斉藤壮馬]

8　彼のこと ページ8

壮「じゃあ、行ってきます」


『本当にお世話になりました』


壮「全然大丈夫。今度飲もうね」


壮馬ははお仕事に向かい、
私は隣の部屋へと入り込む。


…今でも夢だったんじゃないかと思うくらい信じられなくて、心臓はばくばくと忙しなく動き続ける。


なんか流れで「ご飯作りますよ〜〜w」みたいに言ってしまったが、冷静に連絡先も交換してないし生活してる時間帯だってお互い把握してないしで困ったな。


まあいっか。いつかはチャンス来るでしょ。


とりあえず今は午後からの仕事に備えてお風呂に入って、メイクして、あ〜〜〜…めんどくさ…。


まあお客さんにひどい姿を見せるわけにもいかないのでしっかりと身だしなみは整えますよ、ええ。


ジタバタ準備をしているうちに、
あっという間に出勤のお時間。


いっけな〜い！社畜社畜！


…ふざけたこと言ってないで、早く行こ。


あ〜あ…今日の朝みたいな生活が
ずーっと続けばいいなあ。


そんなの高望みオブ高望みウィズ高望みってのは
私が一番わかってるんだけどね。


朝のるんるん気分を引きずったまま仕事をする。


やっぱり１日の始まりが楽しいと、
その後も楽しいものだな〜〜！！


一生この気分で仕事したい。


あ、サンドイッチ美味しそうだな。


今度壮馬に作ったら喜んでくれるかな。


ほんの少し前までは推しとオタクの関係だったものが、今は手を伸ばせば振り返ってくれる距離にいる。


それが嬉しくて照れ臭くて、
手に持ったお盆で緩んだ口元を隠した。

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