44 未来まで ページ44
壮馬と過ごす幾度目かの夜。
映画も終わり、
感傷に浸りながら帰り道をたどる。
夜の香りを感じながら眠気と戦っていると、
目をさますかのような壮馬の一言。
壮「俺、好きな人出来たんだよね」
頭を突き抜けるような衝撃と共に、
一瞬、手にぐっと力が入る。
『…そっか』
どう反応すればいいかわからなくて、
素気ない一言で返事をしてしまう。
壮馬に好きな人がいる。
それだけで、近頃壮馬に嫌われないようにするために頑張っていた自分が惨めに思えてきて、勝手に虚しくなっていく。
壮「全然俺のタイプではないんだけどね。
優しくて、あったかくて、近くにいる人』
『よかった、じゃん』
近くにいる人…やっぱり同業者の方かな。
知ってたんだよ、言われなくても。
壮馬が好きになるのは私じゃない。
そんなの、最初から全部わかってたんだよ。
…でも、"好き"は止めらんないから
"好き"なわけで。
何を言われても、何があっても、
壮馬が好きなんだよ。
もうそれを壮馬に言うことは叶わない夢になってしまったかもしれないけど。
思いを持ち続けることくらい、
都合よく許してくれたりしませんかね。
『…じゃあ、頑張らないとね。
振り向いてもらえるように』
なに応援するようなこと言っちゃってるんだ。
ヒロインの恋を応援する
超絶優しい親友じゃないんだから。
恋を諦めたわけじゃないけど、
好きな人には幸せになってもらいたい。
そう願うのは、不思議なことなんだろうか。
壮「気づかないんだよ、優しすぎるから」
壮馬が呟いたその言葉は、私の耳に届く前に
夜の風にさらわれて消えていった。
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そると(プロフ) - mちゃさん» ありがとうございます!!近々続編を投稿予定ですので、ぜひよろしくお願いします! (2020年6月16日 20時) (レス) id: 88d0dc4af6 (このIDを非表示/違反報告)
mちゃ(プロフ) - 好きです!続編楽しみに待ってます! (2020年6月13日 0時) (レス) id: e046c287bb (このIDを非表示/違反報告)
兎亜(プロフ) - こまつさん» ありがとうございます!また近いうちにお会いできるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします! (2020年6月12日 19時) (レス) id: 51dcbeb2a7 (このIDを非表示/違反報告)
こまつ(プロフ) - お疲れ様でした!いつも楽しく拝見させていただいてました!これからも頑張ってください! (2020年6月12日 18時) (レス) id: f4d38f94f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:兎亜 | 作成日時:2020年5月31日 17時