限界オタクの隣人事情 [斉藤壮馬]

43　進化？退化？ ページ43

帰宅して早々、壮馬との約束のために準備に取り掛かる。


…ほんと、いきなり褒めるのやめてほしい。


好きが加速してしまう。


ところで。
レイトショーには何を着ていくのが正解？


ちょっと暗めの服とか…？


あーでも、うーん…。


ぐるぐる悩んでいても仕方ないと思い、
トレンチコート風のワンピースを手に取る。


髪はちょっと巻いて、ゆるっとお団子に。


メイクは濃すぎない感じでナチュラルに。


…よし、できた。


ちょっと調子乗ってるとか思われないかな、大丈夫かな。大丈夫か。壮馬だし。


壮馬仕事終わったああ
Aじゃあ行きますうう
壮馬場所ここで
Aあい!
壮馬可愛い服着てきて
A期待しないで


マジで期待しないで。


その思いだけを胸にしながら、
壮馬のいる場所まで電車に乗ってぶらり。


『壮馬、お待たせ』


壮「A…」


『え、何？なに』


すると壮馬がマスクを下げて、
私の耳元に口を近づけて一言。


壮「かわいいよ」


『〜〜っ』


壮「これ照れたらデコピンしていいのって
継続されてる？」


『…されてない』


壮「されてることにしたいんだけど」


『だめ。壮馬のデコピン痛いk』


言い終わる前におでこに痛みが走る。


『っっった！！！』


必死でおでこを抑えて
痛みをやわらげようとするが無意味。


壮「A、なんか可愛くなった？」


『えっ』


壮「ちょっと前より全然可愛い」


『嬉しいけど恥ずかしいからもうやめて…』


壮「恥ずかしがるところは変わらないなw」


『それは言わないでください』

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