限界オタクの隣人事情 [斉藤壮馬]

39　褒めます ページ39

今日は由亜とお出かけ。


私の女子力磨きのために。


由亜ありがとう好きだよ壮馬の次の次の次くらいに。


自分で言ってて恥ずかしくなってきた。


由亜に「あんたの可愛いを見せろ」と言われたので、自分の中で一番可愛いと思っている服を着て行く。


普通に可愛いがわからなくなってしまって
非常に困ったけれども。頑張った。


扉をガチャ、と開く。


はい、出発出発。


すると、隣のドアが同時に開いた。


「「あ」」


『壮馬じゃん。仕事？』


壮「仕事。Aは？」


『友達とお出かけ。女子力上げに行くの』


壮「これ以上どこをあげるの」


『え、見た目』


壮「十分じゃない？」


『ほんとに言ってるー？w』


並んでエレベーターに乗り込む。


壮「ずっと言ってるじゃん、俺はAの服とか結構好きなんだって」


もちろん覚えてます。


壮馬に褒めてもらえた時のことは
なんでも覚えてるよ。好きだから。は？


『照れるわ』


壮「単純」


壮馬からピシッとデコピンが飛んでくる。


『痛っっ！！』


壮「もう一回やってあげてもいいけど」


『勘弁して』


壮「A、ちょっと褒めるたびに照れるよね」


『褒められ慣れてないから。ほんとに』


壮「なんで？Aは褒められるとこ
たくさんあると思うんだけど」


『それ私に言われてもな。
なんか悔しいから壮馬のことも褒めていい？』


壮「仕事の活力にするから褒めて」


『じゃあいきまーす』


すうっと息を吸う。


『壮馬の褒めたいところー！優しいところ褒めてくれるところいつでも飲んでくれるところ私のくだらない話にも付き合ってくれるところかっこいいところ料理上手なところ部屋が綺麗なところちょっとシスコン気味だけど妹想いなとこr』


壮「待って待って」


『なに』


壮「照れる」


『デコピンしまーす』


宣言通りデコピンを躊躇なくかます。


我ながらうまくいったかも。


壮「いっった！」


『どんま〜〜い』

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