限界オタクの隣人事情 [斉藤壮馬]

4　飲むぞ ページ4

あの後お仕事があると言って壮馬さんはマスクをして家から出ていった。


そのお仕事、多分ラジオだろうなあ…。


今日生放送だって聞いたし。


なんか推しの裏側を見てしまった気分。嬉しいような只のファンが横にいていいのだろうかというような。


複雑ここに極まれり。


由亜には話すべきか悩んだが、言う必要もないかと思ったので一応言わないことにしておこう。


今日は由亜の家でなんかいい感じの料理を食べさせてくれるらしい。


それほど遠くもない由亜の家までは
いつも思っているよりも早く着く。


大体推しの歌5曲分くらい。


由亜のマンションのチャイムを押すと、
声だけは清楚な由亜が出てくる。


由「いらっしゃい。
今日の私、化粧ノリよくない？」


『いいんじゃない？知らないけど』


由「もうちょっと興味持てよ〜」


『由亜の顔面より推しの顔面が好き』


由「はいはい、知ってた知ってた」


お互いなんっっの気遣いもないが
確かな友情のもとに会話している。まじ。


由「てか西山宏太朗氏のMV見ました？」


『で、出た。推しの話するときだけ
敬語になってしまうオタク』


由「見ました？？？」


『見た見た』


由「マジで始まって3秒で最高確定演出出てたよね」


『終始あざとかった記憶ある』


由「ほんとアーティストデビューとか
予想してなさすぎて心臓が涙流してる」


『病院行って定期』


由「定期おつおつ。
Aビールかハイボールどっちがいい？」


『ビールで』

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